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閉塞感を打破する企業改革の実行を
総選挙を経て年内にも発足予定の新政権に課題が山積している。なかでも景気回復や経済活性化は喫緊の対策が迫られており、円高やエネルギー制約、自由貿易協定の遅れなど「六重苦」克服に向けて動き出さなくてはならない。一方で製造業を中心に日本企業の抱える構造的課題も浮き彫りになっており、自助努力による企業改革を進めなくてはならない。
文科省のグローバルCOEプログラムで「日本企業のイノベーション・実証的経営学の教育研究拠点」が採択された一橋大学大学院商学研究科は、バブル崩壊後の日本企業の混迷を実証データを重視しながら経営学の視点で分析した。この研究を通じて日本企業の変化を嫌う保守的な体質がイノベーションを阻害していると強調した。
マーケティングの視点で分析した山下裕子准教授は、その重要性は認識されているものの、データに基づいた戦略に課題が多いとした。そして強い営業は既存顧客の満足度を高めるが、新規顧客の獲得にはマイナスに作用し、新興国市場の開拓で海外企業に後れをとる原因になっているという。
企業組織を分析した加藤俊彦教授は、日本企業の経営計画は現場で役に立っていないと指摘。事業部長は有効な戦略を部下に示すことができず、戦略や計画が軽視され、個々の業務に反映されていない。自由度を拡大して創造性を高めることも試行されているが、組織がルーズになって、逆に状況を悪化するケースが多いという。
中野誠教授はリスクテイクの視点で日本企業の課題を提起した。日本企業は世界最高水準のキャッシュを蓄える一方で、バブル期の過大投資の後遺症もあって、設備投資やM&Aに慎重なローリスク・ローリターン経営が続いている。過少投資によって企業価値が低迷、とくに取締役会の平均年齢の高い企業ほどキャッシュを社内に抱え込む傾向が強いという。
エレクトロニクスなど日本を代表する企業の不振が話題になるなかで、一橋大学の分析は傾聴に値するだろう。ただマーケティング戦略の研究はコンシューマービジネスを対象にしており、BtoB事業には必ずしも当てはまらない点もあるが、得意としてきたモノ作りでも、戦略なき製品開発が失敗に終わった事例は数多い。
日本企業は高度成長経済から成熟経済の転換に乗り切れず、冷戦終結後のグローバルメガコンペティションに対応できなかったことを真摯に受け止めるべきだ。製造業を中心に六重苦の重さは無視できないが、戦略を明確にして挑戦する企業家精神を取り戻してほしい。