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2012年12月13日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載(上)】変わる新薬開発 「自前」から脱却 メガファーマの挑戦

外部と提携、支援を強化

 新薬の開発環境が厳しさを増している。成功率が低下し、コストも膨らんでいる。数万人規模の従業員を抱えるメガファーマが新薬創出までのすべてを自前で行いながら成長を維持することは困難な時代となった。近年はメガ同士の合併やスペシャリティ企業の買収で収益基盤を拡充してきたが、巨額のM&A(合併・買収)はリスクが大きい。生き残り策として各社が力を入れているのが、共同研究・開発、ベンチャー企業への開発支援、オープンイノベーションなどのパートナリング戦略だ。(赤羽環希)

※研究資源を戦略的に取り込む※
 世界最大手の製薬企業である米ファイザーは、研究開発(R&D)分野で外部機関との提携強化に本腰を入れている。社外のイノベーションを活用するための研究ユニット「エクスターナルR&Dイノベーション(ERDI)」を立ちあげ、アカデミアやベンチャー企業に対しファイナンス、オペレーション、開発促進など多様な支援体制を築いた。外部のサイエンスや研究資源、テクノロジーを戦略的に取り込み、自社のポートフォリオ強化や開発成功率アップを図ると同時に、基礎研究の段階から実用化に進展しない「死の谷」の克服も目指す。
 ファイザー日本法人の医薬開発部門長である原田明久上席執行役員によると、日本でも新たなパートナリングの探索活動が活発化している。同社は自社研究者と日本のベンチャー企業、大学研究者らが交流するパートナリング・ミーティングを毎年開催するほか、「目利き役」の原田氏が有望なベンチャーやアカデミアの研究プロジェクトを選定し、グローバル本社が来日して交渉を進めている。「日本の研究者のレベルは高く、注目すべきものが多い。見つけていないものがまだまだある気がする」(原田氏)としており、非臨床段階の化合物、ドラッグデリバリーシステム、抗体技術など医薬品の新たなシーズや技術基盤を開拓し、ファイザーを通じて日本発のサイエンスを創出していく考えだ。

※日本発の技術を外資が育てる※
 今年、ファイザーが日本で発売した非小細胞肺がん治療のファーストインクラスの新薬「ザーコリ」は、自治医科大学の間野博行教授が発見した肺がんの原因遺伝子が臨床開発のベースとなった。同剤のように日本で最初に発見されながらも、日本から製品化されなかった医薬品は少なくない。米メルクが今年、日本や米国などで承認申請した不眠症治療でファーストインクラスの新薬「スボレキサント(同)」は、金沢大学の櫻井武教授の研究成果を基に開発された。
 日本発のサイエンスでありながら外資大手が自社のヒット商品として開発できるのは、こうした外部研究への積極的な投資と、研究開発体制の徹底的な効率化が奏功した結果といえるだろう。
【写真説明】ファイザーは日本でもパートナリング・ミーティングを開催するなど提携相手の探索に力を入れている


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