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2012年11月22日 前へ 前へ次へ 次へ

欧米化学大手 イノベーションを成長戦略の基軸に

 欧米化学大手が「イノベーション(革新)」をキーワードに新しい成長戦略を目指している。アジアの事業基盤拡大を主軸に据えるBASFは上海に「イノベーション・キャンパス・アジア・パシフィック」を開設し、先端材料など持続可能な発展にかかわるソリューションの開発を強化。デュポンは産業バイオ分野で重厚な研究開発体制を整えた。バイエルはアライアンスを深化させ、ブロックバスター開発を狙う。グローバル戦略の柱にイノベーションを据え、メガトレンドやアンメットニーズに対応し新たな収益源を育てる。

*BASF アジアで開発強化*
 BASFは大胆にイノベーションの軸をアジアに移そうとしている。マーティン・ブルダミュラー副会長によれば、「2020年に全世界の25%の研究開発関連人員をアジア太平洋地域に集約する」。その象徴といえるのが5500万ユーロを投じて上海浦東地区に完成させたイノベーション・キャンパス(写真)。ここからエネルギー、水、食糧、生活の質的向上に照準を置いた新技術を発信する。まずホーム・パーソナル・ケアでのバイオベース熱伝導ポリマーの応用や、省エネルギー照明器具向け樹脂などの開発を進める。

*デュポン 産業用バイオに的*
 農業用バイオテクノロジーを大きな事業基盤として確立したデュポンは、ダニスコの買収を契機に産業用バイオの開発を広範囲に手掛けようとしている。デュポンが持つ種子・農薬、バイオマス、微生物工学とダニスコの酵素、発酵などの技術を総合的に展開、一貫したバイオプラスチック、バイオケミカルの開発体制を構築している。

*バイエル アライアンス深化*
 アライアンスを強化して大型新製品の開発を目指すのがバイエル。「より長期的で強い関係に基づくアライアンスを欧州だけでなくアジア、北米にも広げる」(ヴォルフガング・プリシュケ取締役)考え。ヘルスケアでは、最大年商20億ユーロを見込む抗凝固剤Xarelltoはジョンソン・アンド・ジョンソンとの共同開発、ピーク時10億ユーロの売り上げを見込む滲出型加齢性黄斑変性症治療薬「アイリーア」もリジェネロンからの技術導入で、米国以外のライセンス権をバイエルが有している。前立腺がん治療薬のアルファラディンもAlgetaと開発、マーケティングでパートナーシップを結んでいる。また、米サンフランシスコの同社サイトでバイオテクノロジーのベンチャー企業向けのラボスペースを提供、アライアンスの裾野拡大を狙う
 クロップサイエンス、マテリアルサイエンスにも研究開発のパートナーシップが広がっている。ヘラと組んで発光ダイオード(LED)を使った道路の照明器具を開発、同社と自動車のヘッドランプなどの共同開発で長期的なパートナーシップを結ぶとともに、「バイオベースの樹脂に関してモノマーからポリマーにする段階でのパートナーの探索中」(トニー・ヴァン・オセラーBMS経営委員)。また、豪州の研究組織「CSIRO」と綿花種子改良に関する連携を結んでいるほか、イスラエルのEvogeneと小麦の種子改良でパートナーシップを結んでいる。
 バイエルは年30億ユーロの研究開発投資を継続、来年はさらに拡大するなかで、アライアンスの質的強化を推進するとともにアジア企業・機関との連携も模索するなど、グローバル体制をフルに活用しイノベーションの最大化を推進しようとしている。(松岡克守)


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