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2012年10月18日 前へ 前へ次へ 次へ

参考になるULの製品安全認証事業

 製品安全試験・認証を中心に事業を拡大してきた米国UL(アンダーライターズ・ラボラトリーズ)の新たな展開が注目されている。ULは1894年、電気エネルギー産業の急成長で漏電による火災が相次いだため、電気技術者のウィリアム・ヘンリー・メリルが設立、電線や電球など電気製品の試験を開始した。法人化して1世紀以上を経過、化学産業にとってもUL認証は、プラスチックの燃焼試験などを通じて製品安全に不可欠なツールとなっている。
 東西冷戦終結から約20年、グローバル規模の競争が激化、日本が得意にしてきたモノ作りにおいても韓国、中国など新興国の追い上げを受けている。この競争に生き残る戦略として、特許など知財と標準化の役割が高まっている。
 ULは電気製品を中心にデファクトスタンダードを数多く形成してきたが、最近では競争激化と技術開発のスピードアップもあって国際標準化も重視している。ULが積極的に取り組んでいる活動に電気自動車(EV)規格への対応がある。ガソリンなどの既存車と違い、EVはリチウムイオン電池を使用する。このため火災事故が発生した際に水をかけることは厳禁になるなど、新技術の登場で安全対策は抜本的見直しが迫られる。高電圧・高電流による感電、過充電リスクへの対策なども厳しくなる。
 ULはEVの開発が始まった90年代からEV関連製品の安全規格の制定作業を進めていた。この取り組みは米国規格協会(ANSI)の規格承認、米労働安全衛生局(OSHA)によってUL認証製品として認定され、認証作業も行っている。
 電気製品の安全試験・認証で発展してきたULは、消費者の"安全・安心"ニーズの高まりに対応して新規分野への展開も加速している。その一つが食品安全支援だ。現在、食品産業に関連する企業が求められているのがGFSI(グローバル・フード・セイフティ・イニシアティブ)が認証した国際規格の取得だが、日本国内でも30以上の支援など成果を出している。
 さらに企業のグローバル展開に対応して、進出国の規制、安全や倫理基準などに合致しているかを検証、必要に応じて改善を提案するコンサルティングも始めている。企業に求められているコンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)への適切な対応をバックアップする。
 わが国でも産業競争力の向上に国際標準化が重要という認識は浸透しているが、並行して認証・安全評価機関の提案力向上などのレベルアップも進める必要がある。ULの取り組みは参考になるはずだ。


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