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2012年10月16日 前へ 前へ次へ 次へ

加速したい特許の国際調和への議論

 経済活動のグローバル化が進展するなかで、特許に代表される知的財産の国際調和が急がれている。1980年代に議論は始まったが、先進国間の意見対立に加え、先進国の制度や特許権の押し付けとする発展途上国の反発もあり、議論はあまり前進していない。障害となってきたのが米国の先発明主義だったが、昨年先願主義への移行を含む法案審議が始まったことで国際調和の議論が動き出した。この流れを加速し、制度や運用の国際調和を実現してほしい。
 特許は企業の事業戦略に不可欠なツールだが、最近の特徴は中国や韓国への特許出願が急増していることだ。とくに中国の出願件数は米国、日本を抜いて1位になり、2015年には75万件を目標にしている。さらにASEAN、ブラジルなどの特許出願も増加傾向にある。一方、日本人の海外出願は、企業活動のグローバル化とともに約3分の1まで増加している。
 これまでも特許制度や運用に関する国際調和の必要性の認識されていたものの、先願主義と先発明主義という基本的制度の違いもあって産業界の期待ほど前進しなかった。特許庁によると、今月初めにジュネーブで開催された世界知的所有権機関(WIPO)総会、日米欧の特許政策責任者によるテゲルンゼイ会合などにおいて国際調和を前進させるということで基本合意できたという。
 制度調和の議論は、国の主権たる審査結果を拘束するものではないことを前提に、権利取得の円滑さや予見性を高めることに途上国を含めて各国が協力する。とくに先進国企業にとって制度調和の重要性は高いことから、先進国はあらゆる機会を活用して法制面の制度調和を目指すことを確認した。直ちに制度調和が難しい国には、長期的視点で審査・IT技術や人材育成で協力を行い、より透明性の高い特許制度構築を支援することにした。
 制度調和に向けたモメンタムを失わない取り組みが期待したい。ただ、法改正が必要なケースも多く、ハードルは多い。米国は先願主義移行に向けた改革は始まっているものの、サブマリン特許問題など外国人に不利な制度がいぜん残っている。欧州では特許制度に関する権限は各国特許庁に帰属し、リーダー不在といわれる。
 加えて、特許出願前の論文発表の許容範囲に関する「グレースピリオド」、「カ月出願公開」、出願済みだが公開されていない技術の排除効果に関する「衝突する出願」、「先使用権」の4重要問題の調和は容易ではないとされる。産業界などユーザーの意見を汲み上げて実効性のある成果を期待したい。


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