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2012年09月18日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載 】エンプラ最新事情 上

「ソリューション」で需要創出
提案型で顧客の課題解決

 エンジニアリングプラスチック各社が事業構造の変革を迫られている。主要な需要先の自動車・エレクトロニクス業界が厳しい経営環境に直面しているためで、これまでとは異なる製品開発や営業活動を模索するとともに、グローバルオペレーションのさらなる進化を目指している。エンプラメーカーの動向を追った。    

※ニーズ先取り重要※
 「技術や営業の基礎力を高めながら、ソリューション提供型のビジネスモデルを確立する」と語るのはポリカーボネート(PC)国内大手の帝人化成の福田善夫社長。
 スマートフォンやタブレットなど携帯端末の高機能化・通信高速化、ディスプレイの大型化・高精細化、自動車の環境負荷低減といったさまざまな市場変化にともない、エンプラに対する顧客ニーズは多様化・高度化している。こうした変化を背景に、エンプラ業界において重要なキーワードとなっているのが「ソリューション」だ。
 「顧客が抱える問題を解決し、自ら需要を創出していかなくてはいけない」(福田社長)。市場ニーズを予め予測し、製品開発・提案することがこれまで以上に重要となっているという。
 同社は松山事業所(愛媛県)に新製品開発と同時に少量生産に対応可能な成膜設備を導入した。「独自の設計思想を採り入れた」(小野友明新事業開発部長)ことで、業界最高レベルの高い平滑性や表面外観特性を持つ高機能フィルムが成膜できる。「当社が考えるソリューション」(小野部長)として、同設備を活用し高透明性、耐熱性が要求されるタッチパネル向け透明導電性フィルムや、自動車内外装用の塗装レス・メッキレスを可能とするフィルムなどの開発を進める。

※加工工程まで考慮※
 東レはポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)など幅広いエンプラを扱う。同社は実際に使用される用途を想定しながら、成形、加工までを考慮した開発を重視している。競争が激しい既存用途だけでなく、「成長分野への進出が必要」(佐藤昭夫取締役)としてエコカー、スマートグリッド、電池といった国内で需要が見込める環境・省エネ対応製品向けを中心に新規用途開拓を狙う。
 業界でいち早く「ソリューション」を標榜していたのがポリプラスチックス。顧客のプラスチック部品の開発支援を目的に、ソリューション技術と呼ぶ新たな成形および加工技術の開発・提案に力を注いでいる。

※強固に金属と接合※ 最近開発した新技術の1つが金属と樹脂の接合技術「レザリッジ」。レーザーで金属表面にパターン化されたアンカー構造を形成し、このアンカー構造に樹脂を隙間なく流入させることで固化時の剥離を抑制する。
 接着剤を用いた従来の樹脂複合材に比べ初期接合性が高いうえ、耐熱性や耐冷熱耐久性といった長期信頼性向上にも寄与する。部品の小型・軽量化に加えて防水性や放熱性など新たな機能も付与できるため、自動車や電気・電子関連メーカーにおいて複数の開発テーマが検討されている。
 仁藤敏克常務執行役員は「顧客は単に安価なだけの材料ではなく、画期的な商品開発につながる材料を求めている」と指摘。自動車、エレクトロニクスメーカーがグローバル競争に勝ち残っていくためには「高度なソリューション技術の提案」(仁藤常務執行役員)が重要な鍵を握っている。
(細井康弘)

【写真説明】上 帝人化成は松山事業所に高機能フィルムの成膜装置を導入 下ポリプラスチックスが開発した「レザリッジ」の処理面。レーザーにより金属表面にアンカー構造が形成されている


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