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トップは中国の構造変化を直視せよ
中国内で続いている人件費高騰は、同国経済のみならず世界経済にも多大な影響を与える可能性が出ている。2010年の上海万博を成功させた中国は、従来の低賃金・低加工コストを強みとした"世界の工場"による経済成長戦略を大幅に見直した。リーマン・ショックによる世界経済の混乱を受けたものの、輸出依存経済から内需主導の経済成長へと明確に舵を切った。
北京の政策当局は、経済成長と同時に内在している貧富の格差という問題の解消も含め、工場ワーカーと呼ばれる労働者層の月収を倍増以上とする方針を打ち出した。最近では、ワーカーが集中している華南地区を中心に工場労働者の賃金上昇が著しく、中国内でも大きな話題になっている。数年前は月額1000元前後とされた賃金は、3倍から5倍を超えるようなレベルに達しているところも出てきているという。
こうした工場ワーカー層の賃金上昇によって、おう盛な内需が拡大している。とりわけ都市部周辺で人口のマジョリティを占める中間層に支えられた消費市場が確実に形成され、広がりをみせている。こうした層は高級ファッション、化粧品、嗜好品、娯楽関連、高級食品などの消費に手を伸ばしている。高級・高付加価値をアピールする製品やサービスが爆発的に増加しているのが、現在の中国の一面である。
半面、賃金の上昇は、中国で生産活動を行ってきた内外すべての企業へ影響を与え始めている。すでにナイキやアディダスなどスポーツ用品メーカーは、大量雇用型の中国工場を南アジアなどに移転を始めている。電子部品や組み立て関連の外資企業も南アジア、さらにはアフリカ、南米などへ移転するケースもあるという。一方で、加工関連を主力とする中国系企業も沿岸部から内陸部や東北部など中国内での工場移転も続いている。外資系企業のみならず中国企業自体も人件費高騰の対策を講じている。
過日、報道されたフランス系投資銀行のレポートによれば、中国人労働者の人件費は4年以内に米国、7年以内には日本に追いつくと予想、低コスト労働力を武器にした中国経済の終焉を伝えた。人件費高騰は、生産活動を行う企業にとって競争力上の大きな課題だ。
ただ、人件費高騰は中間層の所得を引き上げ、消費力も高めることになる。日系化学企業が得意とする高機能、高付加価値型のビジネスや素材が受け入れられる素地が中国に整いつつあることを示す。中国で事業を展開する経営者は、大きく変化する中国の姿を現地に赴き、肌で感じる必要がある。