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2012年09月13日 前へ 前へ次へ 次へ

クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン中谷秀雄社長に聞く

LiB負極材、4社合弁で事業拡大に弾み
ハードカーボン、車載向けに本領発揮
「量・質」高め競争力向上

KBMJ中谷社長.JPG 昨年、クレハと伊藤忠商事の合弁会社として発足したクレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)。このほどクラレと産業革新機構が出資を決め、KBMJのリチウムイオン2次電池(LiB)用負極材事業は新たなステージに入った。LiB市場の競争が激しさを増すなか、荒波にどう立ち向かうのか。中谷秀雄社長(クレハ専務執行役員電池材料事業部長)に舵取りを聞いた。

※産業革新機構が出資※
 ー かねて協力関係にあったクラレ、産業革新機構が経営に加わります。
 「KBMJはまだまだベンチャー企業。事業の規模や資金、人材など力不足な部分が多々見受けられるのが実情だ。単独では大きな商機を逃してしまう恐れがあったため、合弁会社を選択している。今回、産業革新機構が参加してくれることは技術や経営資源などを国が支えてくれることを意味する。厳しい競争が予想されるだけに大変心強い」
 ー 扱う負極材の特徴は。
 「当社の負極材『カーボトロンP』はハードカーボンによるもので、1990年代の開発当初はオーバースペックといわれていた。しかし、ここにきて大容量化が欠かせない車載・定置向けLiB市場が立ち上がりをみせており、カーボトロンの本領が発揮できる時期にさしかかってきたといえるだろう。また、クラレと共同開発してきた植物由来負極材『バイオカーボトロン』もユニークな製品で、市場での差別化につながると期待している」

※量産技術を磨き上げ※
 ー 出資により得た資金の使途は。
 「調達する最大200億円の資金は、国内外でのプラント建設を中心に充てる方針だ。13年にはクラレケミカルの鶴海工場(岡山県)に年1000トンのプラントを設置し、15年には国内外3拠点で年4000トンの生産能力を持ちたい。シェア2割以上を目標に、黒鉛系と同等の価格を有する製品開発にも取り組んでいく。量産技術の磨き上げを年末までに完了したいと考えている」
 ー 新たなグレード開発も進める予定です。
 「カーボトロンP、バイオカーボトロンに続く第3のグレードを開発する。具体的には非可食植物を原料の候補として検討していきたい。価格面での要求が険しくなってきている流れを踏まえ、コスト競争力に優れた材料にできるかがポイントとなる」

※年2万トン体制を構築※
 ー 今後の計画は。
 「今春、いわき事業所(福島県)でカーボトロンの能力を年1800トンに拡大した。出資で得た資金などを活用し日本、米国、中国の3極で供給体制を整えていく算段だ。4社で組めば思い切った投資もできるようになる。バイオ系負極材を含めて20年には4ー5拠点で年2万トン体制を敷きたい。新グレードと合わせてKBMJがリードする格好で市場を切り開いていく」(聞き手=吉水暁)

【最大200億円調達】
 KBMJは今後2年間、第三者割当増資による普通株式や無議決権優先株式を発行する。最大資本参加額は産業革新機構が100億円、伊藤忠商事とクラレが各22億円。クレハは第三者増資に合わせてKBMJの普通株式55億円を引き受ける。


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