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2012年08月30日 前へ 前へ次へ 次へ

光触媒に執念、開発者の藤嶋昭博士

 東京大学の本多健一、藤嶋昭の両氏が酸化チタンに光を当てると、水が水素と酸素に分解する「本多-藤嶋効果」をネイチャー誌に発表したのは1972年、40年前だ▼日本発の発見は、住宅やビルの壁をきれいにし、空気浄化、殺菌やウイルス分解などに応用された。世界の市場規模は1000億円程度と推定されるが、その9割近くが日本の需要。清潔好きの国民性も市場拡大を後押ししたのだろう▼光触媒の国際標準化でも日本が主導した。光触媒効果には疑問の声があり、粗悪商品も数多く出現した。そこで材料試験法や製品規格の標準化を通じて品質向上、信頼性確保に努めた。この成果は国際規格としても整備され、今後の海外展開に貢献しそうだ▼本多-藤嶋効果を紹介した74年の新聞元旦号の見出しは「太陽で"夢の燃料"」。水から水素を作る可能性に着目した背景には、石油危機があった。この研究はその後、あまり注目されることもなかったが、今年度から水を原料に太陽光で水素を生産、石化原料を製造する技術開発が本格的に動き出す▼現在は東京理科大学長である藤嶋博士は、来春開設する光触媒国際研究センター長としてイノベーションを陣頭指揮する。一方で川崎市で10月から5回シリーズで行う公開講座「光触媒が未来を作る」の講師と、精力的活動が続く。


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