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2012年08月29日 前へ 前へ次へ 次へ

「校正畏るべし」と「後生畏るべし」

 来る9月は、あまり知られていないが「印刷の月」。印刷は15世紀半ば、グーテンベルクによって始まったが、それと同時に「誤植」の歴史も始まった。出版史上の金字塔といわれる彼が印刷した聖書には誤植がたくさんあったという▼誤植の形態は技術革新とともに変わってきた。日本ではワープロの誕生以降、かな・漢字変換の際の誤変換が"主流"。経済紙にとって命綱とも言える数字のタイプミスも駆逐できない▼私事になるが、25年の校正歴で痛恨の誤植は、1面トップの大見出しの社名。台湾の大企業、「美」と「実」を取り違えた、といえばピンとくる人も多かろう。これは字形の相似に、してやられた▼化学品名は多くがカタカナである。ナフサ、エチレンなどの短い品名は間違いにくい。アクリロニトリルブタジエンスチレンなどのように長くなってくると、注意力が散漫になり誤植が出やすい▼「校正畏るべし」。論語の「後生畏るべし」の誤植ではない。あえて同音異義語をあてている。明治時代の劇作家福地桜痴が最初に使ったという。誤植が社会に大迷惑をかけてしまうこともある。決して気を抜くなと戒めた▼時がたって笑い話になる誤植もある。ミスの当事者には申し訳ないが、とある教科書の話。「雪国はつらつ条例」が「雪国はつらいよ条例」になってしまった。


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