新日鉄化学 二村文友社長に聞く
新中計を始動、アジアで戦える組織に
中核事業さらに強く
人材育成など基盤強化も
新日鉄化学は、2015年度に売上高2500億円、経常利益220億円の達成を目指す中期経営計画を始動させた。このほどコールケミカル事業で中国進出を決定、アジア市場で成長を目指す姿勢を明確にした。事業環境が険しさを増すなか業績目標は決して低いものではないが、「何としてもやり切るとの強い覚悟が必要」と強調する二村文友社長に狙いを聞いた。
ー 中計がいよいよ走り出しました。
「2020年度の当社のあるべき姿を描いた構想『グランドデザイン』への道しるべとして、15年度をターゲットとした中計を新たに策定した。4月に始まったばかりだが、スタートダッシュが必要。厳しい環境下ではあるものの、手を抜くことなく収益を維持しつつ目標達成に向けた仕込みを進めていく」
ー 4つの重点テーマを掲げています。
「中核事業の成長、新規技術・製品の早期戦力化、次世代事業の創出、事業基盤の強化の4つを基本戦略として盛り込んだ。当社の成長を確かにするためにはアジア市場で戦える組織にならないとだめだ。4年間の中計を通じて、その糸口を得たいと考える」
ー 中核事業の拡大戦略は。
「コールケミカルや2層CCL『エスパネックス』、エポキシ樹脂といった収益を上げている中核の事業群を一段と太くしていくため、海外展開が求められる時期にきている。市場環境も大きな変化を迎えており、日本からの輸出に頼る状況では難局を乗り切れない。現地での生産拠点確保も視野に、中計期間中に道筋をつけたい」
ー ガラス代替材料「シルプラス」などの事業化も期待されています。
「シルプラスをはじめとして立ち上がりが遅れている製品・事業をいかに収益源に変えられるかがもう一方の課題。有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料や光学材料『エスドリマー』も同様だ。有機EL材料ではリン光青色で一番乗りを果たすとの方針に変わりはない。研究開発を急ぐとともに、海外大手の電機メーカーをターゲットにリン光緑色材料の早期量産立ち上げに期待している。すでに生産体制は整えており、年度内の稼働を狙いたい」
ー 新規事業・製品は。
「石炭化学に基づいた炭素化技術、芳香族系化学材料技術、さらにその基盤となるナノテクノロジーの3つをキーワードに、次世代を担い得る新たな事業・製品を中計期間中に打ち立てたい。当社が強みを有する分野に立脚しつつ、新たな可能性を追い求めていく。有機、無機双方の技術を持つ個性ある化学メーカーにふさわしい付加価値の高いものを生み出していきたい」
ー 企業の『基礎体力』づくりをあえて入れました。
「人材育成とシステム再構築を2本柱とした業務プロセスの抜本的見直しも目標達成を確実にするうえで極めて肝心だ。ある水準まで引き上げる必要がある。システムの更新は今後4ー5年で50億円の投資を見込んでいる。仕事の進め方まで踏み込み、より効率的な体制を敷いていく」
ー 15年に向け、どのような新日鉄化学を目指しますか。
「特徴ある化学会社として生き残りを果たすのが何よりも大切。そのためには中計で掲げた4テーマを社員が心を1つにしてやり遂げなければならない。足元の環境変化に無関心ではいられないが、一喜一憂せず施策実現に向けてまい進していく集団にしたい」
(聞き手=吉水暁)
(了)