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2012年08月29日 前へ 前へ次へ 次へ

"再エネバブル"抑制に緻密な施策を

 2030年の原子力発電比率を巡る議論は、出口が見えないまま迷走気味だが、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入拡大策に対する不安も広がっている。再エネ普及を目的にした固定価格買い取り制度(FIT)が7月からスタートしたものの、準備不足は否めず、このまま導入が進むと電力コストが大幅に上昇して国民生活や産業活動に大きな負担が生じることが避けられない。
 再エネが持続的発展の切り札という基本認識は間違いないにしても、再エネの高コスト構造など経済性、天候に左右されない安定した電源に向けたシステム開発など課題も多い。
 政府が導入したFITは、ドイツやスペインなど欧州を中心に先行して実施されているが、ドイツでは時間をかけて再エネの普及を進めてきた。最初は水力を主体に、続いて風力、バイオマスと広げ、コストの高い太陽光には抑制的に対応した。昨年からの原発停止の影響を受けて、電力輸出が減少して輸入が増加に転じたため、太陽光の買い取りを増やしたことがドイツの電気料金の上昇につながっている。ただ技術進歩や新たな知見をきめ細かく買い取り価格に反映させるドイツ方式は参考にすべきである。
 これに対して、わが国は原発事故が発生したという要因はあるにしても、再エネ導入が第一目的になって経済性を犠牲したという見方が根強い。とりわけ太陽光発電では1kWh当たり42円という高価格を設定、しかも調達期間を20年としたことで、メガソーラーの参入が相次いでいる。他の再エネでも事業者のコストをベースに買い取り価格を策定しており、このコストは電気料金に転嫁されるため国際的割高が一段と進む。
 10年の再エネ比率は10%だが、水力を除くと1%台にとどまる。現在、エネルギー・環境会議で進めている30年の原発比率「20-25%」シナリオでは、再エネ比率を30-25%という試算を示している。原発ゼロシナリオでは35%である。
 持続可能な発展を実現するため再エネの重要性が高まっているが、一方で過剰な期待をかけることには慎重であるべきだ。これまでも太陽光や風力設備を導入しながら、ほとんど稼働していないケースが散見する。この原因に事業に携わる人材が不足し、設備を手掛ける大手機械メーカーに丸投げする傾向が強かったという。設備メンテナンス体制の整備も遅れている。再エネ事業はバイオマスなど地域資源を生かし、地元の中堅・中小企業を育てながら進める「地産地消」型に軸足を置くべきではないか。地域や中小企業の活性化にも貢献するだろう。


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