米 コーン系エタノール利用に黄信号
見直し迫られる混合基準・芳香族供給にも関連
米国で、コーン系エタノールの利用拡大に黄信号が灯った。トウモロコシへの干ばつ被害が広がるなか、このほどノースカロライナ州とアーカンソー州の知事がEPA(米国環境保護局)に対して、混合義務の一時停止あるいは適用除外を申請。EPAは90日後までの回答が求められることになった。ガソリンへのエタノール混合拡大は、芳香族原料となるリフォーメートの燃料需要増加につながる可能性が指摘されている。、エタノール利用の拡大は、アジアへのキシレン供給源としての米国の存在が修正されると考えらていただけに、今回の選択の行方が注目される。
EPAは、2005年に議会で可決された再生可能燃料基準(RFS)のもと、バイオ燃料の配合量を増やすことを燃料精製業者に義務付けている。このなかでコーン系エタノールについては今年、混合量が132億ガロン(約5,000万キロリットル)と定められていた。
しかし過去50年で最悪とも言われる干ばつに見舞われ、秋からの収穫時期を前に、今年のトウモロコシ生産量が大きく減少することは必至の情勢。このため畜産が盛んなノースカロライナ州とアーカンソー州の両知事が、RFSを一時停止ないし適用除外することで、エタノール生産を抑制し、飼料需要を確保することを求めた。
米国ではバイオ燃料の利用促進を、輸入原油への依存を減らすエネルギー安全保障政策の一環として推進しており、今年も、E15(エタノール15%混合ガソリン)への規制を緩和し、利用可能な自動車の枠を拡大させるなどの措置を行っていた。
一方、ガソリンへのエタノール混合の拡大により、米国の芳香族供給への影響が指摘されている。ガソリンにエタノールを混合すると蒸気圧が高まるため、その対策の1つとして、芳香族原料であるリフォーメートのガソリンへの添加が高まる可能性がある。蒸気圧が高まると大気汚染を招くおそれがあり、米国では一定の基準を設けているためだ。
ベンゼンについては規制によって最終的に抜かれるが、トルエン、キシレンは燃料内に残る。米国は、アジアのキシレン供給の一翼を担っているだけに、米国内の芳香族需給の変化は国際的にも影響がでることが必至だ。
このように、米国のエタノール利用拡大は、芳香族供給に負の圧力となる。一部では、欧州から調達したリフォーメートを使った芳香族生産を行っているが、欧州の製油所は設備過剰問題が深刻化しており、将来的に米国へのリフォーメート供給力を維持できるかは不透明。すでに、エチレン生産のライトフィード化による圧力を受けている米国の芳香族生産が、エタノール政策の今後の在り方によって、さらに規模を縮小する可能性も否定できない。今回の干ばつを機に、混合義務の適用緩和などの動きが現実化すれば、こうし状況にまた変化が起きることになる。