高齢化の先進事例となる健康運動に
政府の国民健康づくり運動「健康日本21」の第2次プラン策定に向けた作業が進んでいる。2013年度から22年度までの健康増進のベースとなるものだけに、日本を取り巻くさまざまな社会的要因を考慮して組み立てていくことが重要である。現在、欧米諸国以上のペースで急速に高齢化が進む日本では、65歳以上の高齢者は約3000万人。30年には3人に1人が高齢者になると予想されているだけに、同運動を貫くキーワードとして扱う必要がある。目標設定は高齢者の自発性を促す内容を重視し、国、地域の強力なサポート体制を確立し、実効性ある仕組みにしてほしい。
素案では基本的な方向として、?健康寿命の延伸と都道府県による健康格差の縮小?生活習慣病の発症予防・重症化予防?栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善など5つを提案した。
具体的には、脳血管や虚血性心疾患など循環器疾患の死亡率低下、糖尿病有病者の抑制と重症化予防、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の減少に取り組む。メタボリック症候群については、08年度の約1400万人を15年度までに25%減といった目標を掲げる。
糖尿病では血糖値コントロール不良の割合を下げることに重きを置き、治療継続者を増やす。目標達成に向け効率的な取り組みを進めるには、これまでと視点を変える必要もあるだろう。例えば、検討の進む統合医療を積極的に活用し、科学的根拠に基づく血糖値上昇抑制機能のある食品素材の摂取など、健康食品を医師が導入しやすい環境や仕組みも必要ではないか。
00年から始まった健康日本21では、9分野80項目の目標を設定した。昨年行われた最終評価では、このなかの59項目が検証されたが、目標を達成したのは80歳以上で20歯以上、60歳で24歯以上自分の歯を有する人の増加など10項目、全体の約17%にとどまった。この達成率を反省材料に、第2次では個人の健康設計に「こうすべき型」から「こうありたい型」への転換を図ることが望ましい。
高齢者対策では、介護保険サービス利用者増加の抑制、運動器障害症候群(ロコモティブシンドローム)の認知度向上、低栄養傾向増加の抑制などを目標に掲げる。咀嚼や嚥下困難者も増えると予想されるが、素案では食環境支援、ボランティア支援推進を示した。
対策をより有効にするには、高齢化社会の先進事例になるような革新技術による食品素材開発と普及を急ぐ必要がある。この市場では化学技術の役わり、可能性は大きいといえる。