ニュースヘッドライン記事詳細

2012年08月24日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】 5 転換期のASEAN石化産業

インドネシア 「精製一貫」体制が不可欠
 人口2億4000万人を背景とした内需拡大が続くインドネシア。自動車をはじめとした最終製品メーカーの投資ラッシュもあり、多くの化学メーカーの間でも注目が高まる一方だ。しかし、インドネシアの競争力は本物なのか。「部材・部品の現地調達率は60%前後だが、素材まで掘り下げると多くが輸入依存」(日系自動車メーカー)の状態で、化学企業の進出に期待を寄せる。しかし、同国では石油精製と石油化学は切り離され、。統合型が常識とされる現代では異質ともいえる。産業全体の競争力向上にはバリューチェーンの土台となる化学産業の強化が不可欠だが、課題は山積みだ。

※原料はほぼ全量輸入※
 インドネシアの石油化学産業では、国内での原料確保という長年の課題を抱えている。国営石油会社プルタミナはナフサを燃料向けに供給する一方、ナフサクラッカーを持つチャンドラ・アスリはナフサやコンデンセートの調達をほぼ全量輸入に依存する。そのため需要を満たす供給体制が整わず、エチレンやプロピレンなど基礎製品を含む多くの石化製品が輸入ポジションという状況。
 また、世界有数の天然ガス産出国だが、国内の発電向けや液化天然ガス(LNG)としての輸出が大半を占める。現鉱区ではエタン含有量が相対的に低く、C2系石化原料としての使用が難しい状況もあり、石油・天然ガスの産出国という点を生かし切れていない。
 インドネシア工業省も危機感を強めている。解決策の1つとして天然ガスを出発原料とするメタノールもしくは石炭からプロピレンなどのオレフィンを生産する計画が浮上しており、原料から石化製品までの一貫生産に期待を寄せる。ただ、川下の多様性という点を考えるとナフサクラッカーの競争力強化は避けられない。ナフサ国内調達を念頭に、「石油精製から石化まで統合した一貫チェーンの構築」(インドネシア工業省トニー・タンドゥクディレクター)が不可欠となる。
※C4留分を有効活用※
 一方、川下では投資が先行している。チャンドラ・アスリによるナフサクラッカーの増強や韓国・湖南石油化学の石化コンプレックス計画により、2016年には合計で同国のエチレン生産は180万トン規模に拡大。石化原料不足もある程度解消される見込みだ。チャンドラ・アスリは外販していたC4留分の有効利用のため、ブタジエン抽出設備を建設中。同国初のブタジエン生産は将来的なC4チェーン構築につながり、新たな石化産業の展開をもたらすことになりそうだ。
 インドネシアは中間層の増大にともない、自動車やコンシューマーなどの市場が拡大する。1人当たりプラスチックの消費量は約10キログラム前後と、世界平均の3分の1程度で成長に余力を残している。さらなる成長には天然資源の輸出に頼る構造から、素材から最終製品まで一貫のサプライチェーンを構築し、本質的な競争力を高める大局的な産業ビジョンが求められている。
(了)

【写真説明】 チャンドラ・アスリは外販していたC4留分を有効活用するためブタジエン生産に乗り出す(写真は建設が進むブタジエン抽出設備)


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.