30年の電源構成をどう考えるべきか
2030年のエネルギーミックス(電源構成)をどうすべきか-。政府はこの間、意見公募(パブリックコメント)、各地での意見聴取会、そして討論型世論調査によって、3つの選択肢に対する国民の声を幅広く集めてきた。
集約結果の評価・分析を踏まえ、中長期のエネルギー政策を方向付ける「革新的エネルギー・環境戦略」を策定する。政権には、それが今後の日本社会におよぼす影響を十分に吟味したうえで、冷静で柔軟性のある政治判断を求めたい。
パブコメには、過去最高の8万9000件余りの声が寄せられた。その集約・分析のため、統計学や世論調査の専門家による有識者会議を設置、きょう22日から検討を開始する。月内にまとめるにせよ9月上旬になるにせよ窮屈な日程である。
国民的議論に際しては、原発比率を「0%」「15%」「20-25%」とする3つの選択肢が示された。国民各階層からの意見表明は、基本的にはこの3つをベースになされてきたが、3つのシナリオはいずれも選択肢になりえないという意見も少なくなかった。
経団連をはじめ産業界からは、経済成長予測が政府の成長戦略と整合していないこと、省エネ目標や再生可能エネの導入見通しが現実的でないこと、さらには電力料金の大幅な値上がりが国民生活や企業活動に及ぼす影響が過大なことなどが指摘された。
脱原発の立場でも、30年ではなく直ちに原発ゼロという主張から、段階的縮小がいいという意見まで、多種多様な声が寄せられた。前提条件への疑問と批判、検討期間や議論の方法論などへの不満は、どのシナリオを支持する層にも当初から根強かった。
中長期のエネルギー政策は、日本社会の近未来像に直結する。にもかかわらず、具体的な議論を掘り下げないまま数字の選択肢に独り歩きを許している感がないだろうか。電力料金が2倍になったときに製造業が成り立つのかどうか、国民の生活には実際にどういう影響が及ぶかなど、分かりやすい事例はいくつでもある。それらを検証したうえで議論を前に進めるべきではないか。
3つのシナリオに対して多く意見が寄せられた。世論は二分ではなく、三つにも四つにも分かれている。いまここで短兵急に30年断面を描くのではなく、時間軸を考慮しながら冷静に検討を進める余地を残し、先行きの構えを手広くしておくことだ。3つのシナリオを踏まえれば、30年時点の原発比率を「0-25%」という方針でもいいはずだ。