世界で勝ち抜くため電子部材の課題
わが国のモノ作り力の将来を危惧するメーカーが増えている。とくにエレクトロニクス業界では、エルピーダメモリの経営破綻後、大規模なリストラが続いているとあって危機感が強い。この動きは競争力を支えてきた部材業界においても同様であり、改めて成長戦略を問い直したいところである。
ここ数年、製造業の競争力低下が著しい。急速な円高が背景にあるとはいえ、それだけが原因ではない。対照的に韓国や台湾企業は勢いを増しているが、両者との根本的な違いはマーケティングと迅速な経営判断に集約できそうだ。プロセス技術に自信を持つエルピーダメモリは、DRAMに集中投資をしてきたが、DRAMとフラッシュメモリの二本柱に舵を切っていた同業の米社に買収された。シャープも世界最大の液晶工場を活かせず、EMS(電子機器受託生産サービス)の台湾・鴻海グループに支援を仰ぐことになった。自動車向けマイコンで一躍注目されたルネサスエレクトロニクスは、五千数百人の人員削減を進めている。
これらに共通するのは一級の技術力を持ちながらも、その強みを生かしきれていないことだ。これに対して韓国勢はマーケティングを徹底し、売れる商品を売れる市場に投入する。日本が得意とする先端製品ではなく、新興市場を普及品から攻める。テレビではあくまで画質にこだわる日本勢に対して、極薄デザインでブランドイメージを高めることに成功している。
復活を期待したい日本の製造業だが、国内市場の縮小とともに海外移転が増えている。需要地生産、または原料入手が容易な地域での生産は、製造業の基本だけに空洞化は避けられない。研究開発機能だけは国内に残すという経営者は多いが、モノ作りから撤退すれば存続は難しいのが現実である。
大手は損益分岐点引き下げに数千人単位の人員削減を繰り返してきたが、これによって中堅技術者が韓国や台湾さらには中国に流出し、日本に負けないような製品開発を協力する。今や、日本の競争力低下は構造的な課題といえる。さらに熟練者のリストラは安全面でも深刻な影響が懸念される。生産現場では計測機器だけでは量れない"経験とカン"が欠かせないだけに、ノウハウの継承は喫緊の課題となっている。
このような負の連鎖を断ち切るにはどうすべきか。成長戦略を見直すしかない。世界をリードする先端素材・部品業界といえども楽観はしていられない状況である。コアとする事業を磨き上げるとともに、世界で勝つためのマーケティング活動を加速したい。