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2012年07月27日 前へ 前へ次へ 次へ

科学技術分野のグローバル化が急務

 日本経済の地盤沈下が進む一方で、日本の科学技術に対する海外の期待はそれほど低下していない。しかし研究論文数や特許出願数では、中国など新興国の追い上げ、逆転を許している。加えて海外に研究活動を求める若手研究者が増えず、海外研究者との共著論文も伸び悩んでいる。科学技術分野におけるグローバル化をいかに推進するか、改めて産官学の取り組みが急がれる。
 研究者が海外に活躍の場を求めない理由に、海外における研究成果がキャリアパスにつながらず、帰国後に希望するポストに就きにくいと指摘されて久しい。またわが国の研究者数はこれ以上増えることが見込めないだけに、イノベーション創出には海外の研究者を呼び込むことが必要とされる。伸び悩んでいるとはいえ、日本人研究者の海外派遣数は約14万人だが、受け入れ数はその3分の1以下だ。わが国の研究環境が魅力的でないことを物語っている。
 科学技術振興機構(JST)は、研究の国際活動強化の一環に「東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア構想(e―ASIA JRP)」共同研究プログラムを立ち上げた。米国、ロシア、インド、豪州などに中国、韓国、ASEAN10カ国を加えた研究交流を促進することが目的。メンバー国のなかで3カ国以上で実施される共同研究を支援する。対象とする研究はアジア諸国が直面する環境、防災、感染症などの課題解決に貢献するテーマを選ぶ。
 日本の科学技術を外交と連携して国家戦略として推進する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」も始まった。JSTと国際協力機構(JICA)の共同プロジェクトで、研究分野は環境・エネルギー、生物資源、防災、感染症の4分野5領域でe―ASIA JRPとも重なる。期間は3-5年で1課題あたり年間1億円の予算を確保した。
 このプロジェクトでは、35歳以下の若手研究者を優遇して国際レベルの研究、実用化・普及を視野に入れて進める。欧米の研究者が途上国の感染症研究に積極的に参加することで「科学技術外交」に貢献していることにも刺激されたようだ。
 日本経済の再生戦略は、グリーンとライフの2つのイノベーションが中軸になろう。この実現には科学技術のさらなるレベルアップが求められ、外国企業や研究者も含めたオープンイノベーションの重要性が高まっている。研究開発予算の増額だけでなく、研究環境の改善、若手研究者のポストや待遇などの改革を含めて山積する課題解決に、JSTは先頭に立って取り組んでもらいたい。


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