高齢者食品の開発促進モデル構築を
自宅で安心して食べることのできる高齢者向け加工食品に関わるガイドラインが7月公表された。ニーズの高い商品開発を促すとともに、小売店で購入することが困難となっている現状を考えて、円滑な流通の確保、普及を目指している。社会生活基盤づくりに欧米モデルを参考としてきた日本だが、世界でも例をみない高齢化社会に直面し、独自モデルの構築が早急に求められている。品質・サービスに優れる日本システムとして、世界から注目されることを目標にガイドラインを生かし、企業の開発力を高め、高齢者が小売店で抵抗感なく、商品を選べる食生活の提供を実現してもらいたい。
「高齢者向け加工食品の製造・流通推進に向けて」と題するガイドラインは、食品産業センターが農林水産省の委託事業として策定した。高齢者向け加工食品は、医療施設や老人福祉施設など業務用が流通量の8-9割占めるとされる。
日本介護食品協議会によると、2011年の在宅用の生産量が前年比36%増、約21億円の市場規模に成長している。ただ宅配・通販やドラッグストアルートで少数メーカーが参入しているが、取扱店の少なさ、パソコンや携帯電話操作の苦手な高齢者が多いことなどからスムーズな購入に結びついていない。また必要なカロリーや栄養素を含み設計されているものの、病院食が基本となっているためか、味や香りの乏しいメニューも多いようだ。
ガイドラインでは、高齢者が独り暮らしだったり、健康状態もさまざまという実態、自ら調理したいと思っている人も多いことなど考慮した商品開発や安定して購入できる小売りのあり方・流通を行うべきとしている。そこで一般用高齢者食と要介護高齢者食に大別し、メーカーには、得意な技術を生かした商品開発、ターゲットにする高齢者の健康状態を明確にした事業戦略が必須条件となる。
商品開発力を高めるためには、開発をサポートする企業あるいは研究機関などとのコラボレーションによる開発の機会を増やすことが重要である。共同開発を通じた品質や食感を変える新しい機能性食品素材、風味を強調するエキス類、食品添加物が新たな食品を作り上げるうえで、大きな貢献を果たすことになるからだ。
食材の特徴を生かした品質の改良・開発ばかりでなく、新素材が食生活を快適にすることを示すPRを積極的に行うことも必要だ。抵抗感なく高齢者に受け入れられる環境整備をメーカーと小売業が連携して進め、市場を育てる姿勢、戦略が求められている。