モジュール化が進む日本のものづくり
長い間、わが国製造業の強みとされてきたのが技術の摺り合わせ。部素材メーカーがセットメーカーの難しい要求に応え、国際競争力のある製品づくりを支える-という解説だった。それを可能にするのは、長期的な関係によって信頼関係が築かれているためともいわれてきた▼その構図が崩れてきた。情報家電や自動車など各製品分野でデジタル化が大きく進んだ。その結果、各パーツを組み合わせてモジュール化すれば製品は完成する。摺り合わせが強みを発揮する領域が縮小し、技術的優位を保てる期間も短くなった▼ものづくりを支える製造機械もデジタル化が進展し、性能が高度化した。高性能の工作機械を大量導入すれば、技術やノウハウの蓄積がなくても市場に参入できる。新興国に追い上げられ、あるいは抜かれた製品分野の多くに共通する事情だ。新たな成長モデルを描くには、知恵と少々の時間が必要だ▼一方、五重苦とも六重苦ともいわれてきた製造業に、いまは強いエネルギー制約が加わり、環境は一段と厳しさを増している。現下の状況打開には強力な政策投入が不可欠だ。それが明確に示されていないことが歯痒い。政策当局が手詰まりに陥っているとは思いたくもない。短期のエネルギー対策も含めて、有効な施策が打ち出されることが切望される。