需要回復に転じた界面活性剤の課題
徐々にではあるが、界面活性剤需要に明るい兆しが出ている。日本界面活性剤工業会のまとめた今年1-3月累計の生産量は、21万5504トン(前年同期比3%減)、販売量は18万1485トン(同7%減)、販売額は504億1800万円(同3%減)となった。減少傾向から脱し切れていないが、3月の生産は横ばいまで持ち直した。3月末在庫は前月から2198トン減った。昨年は東日本大震災の影響で中国や韓国からの輸入量が増えたが、今年1-3月は1万1674トン(同73・7%減)に減少した。
昨年は震災、タイの洪水、欧州債務危機などが重なり、界面活性剤業界も厳しい環境が続いた。ようやく底を脱し、本格的な震災復興需要が動き出すとの見方もあって、界面活性剤の需要回復に明るさがみえている。
界面活性剤は幅広い用途で使われている。洗濯用洗剤、台所用洗剤など生活関連商品、シャンプー、リンス、ボディーシャンプー、液体石けん、染毛料、化粧品などの香粧・医薬分野など身近な商品の原料になっている。加えて、産業用途でも繊維加工・染色、紙・パルプ、プラスチック、合成ゴム、タイヤ、塗料・インキ、セメント・生コンクリート、機械・金属、クリーニング、農薬・肥料など極めて多岐にわたり、国内外の景気動向に左右されがちだ。
界面活性剤の生産・出荷が回復してきたのは、自動車、住宅、セメントなどの需要が堅調だったことが背景にある。今年3月の自動車生産台数は前年同月比50%増だった。震災の反動増はあるが、エコカー減税・補助金が追い風となっている。住宅着工件数は、今年2-3月は前年同期に比べ微増を維持している。3月のセメントおよびセメント製品も伸びた。とりわけ護岸用コンクリートブロック、道路用コンクリート、気泡コンクリート製品などが好調で、復興需要が貢献している。復興需要が本格的に動き出せば界面活性剤の需要にもプラスに働くことが期待できそうだ。
ただ、エコカー補助金は近く予算を使い切るだけに、その反動が懸念される。また、ここへ来て再び円高が進行していることも不安要因だ。輸入原料価格は安くなるものの、界面活性剤がさまざまな部品に使われている自動車などの輸出にとっては逆風となる。
界面活性剤メーカーも海外事業を積極的に展開しており、海外依存度が高くなってきている。だが円建てでの取引は少なく、円高は業績に厳しい影響を与える。為替対策は企業の力ではどうすることもできない。政府・日銀の適切な円高対策を望みたい。