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2012年06月18日 前へ 前へ次へ 次へ

化学が目指すエネ・原料資源技術戦略


 化学産業は原料・素材から最終商品まで多様な製品を社会に提供して豊かなくらし、経済発展に貢献してきた。これを生み出す化学技術も多岐にわたるが、この多様性が化学産業を分かりにくくするとともに、求心力を阻害している。昨年4月、化学における産学官のプラットホームを目指して発足した新化学技術推進協会(JACI)は、化学産業の直面する重要問題を整理して「化学技術戦略」を策定した。取り上げたのは、エネルギー・原料資源問題。産学官連携で挑戦してほしい。
 JACIの前身である化学技術戦略推進機構は1999年、25年後の化学産業のありたい姿を示し、そのロードマップを策定した。そのレビューを行うとともに、社会経済や科学技術を取り巻く環境が大きく変化したことで、新たな化学技術戦略策定の必要性が生じていた。
 まず、10-20年後に予測される社会変化を検討して?世界的な人口増大と、食料・資源・エネルギーのひっ迫と高騰?先進国の人口減と少子高齢化、産業の空洞化・市場縮小・市場ニーズの多様化?地球環境保全に対する社会的要請の増大を3点を指摘した。この変化を受けた産業の対応、とりわけ化学産業・技術の貢献できる領域を明らかにした。
 これからの5年間を視野に置いた化学技術戦略は、対象をエネルギー・原料資源に絞り、化学産業が取り組むべき課題を提案した。幅広い産業構造や多様な技術による総合力が発揮でき、求心力の働きやすいターゲットを絞り、国の成長戦略にも貢献できるためだ。
 最初に取り上げたのは、再生可能エネルギーを高密度の化学エネルギーに転換する「蓄える」技術。さらに再生エネの高効率変換を可能とする「創る」技術でも化学の力で貢献する。
 石油依存の原料からの脱却と多様化もテーマに掲げる。現在は基礎研究の段階にある天然ガスに含まれるメタンおよび石炭への転換を進める。メタンの直接的化学的変換は難度が高く、石炭を含めて合成ガス経由の化学品合成も目的生成物を効率的製造は容易ではないとされるが、国の支援を受けて開発を進めることを期待したい。長期的にはCO2の直接資源化の可能性も模索すべきという。
 希少元素など化学原料の長期安定調達への取り組みも重要だ。これまで化学技術によって金属部材をプラスチックなどに代替して供給安定化に貢献してきたが、希少元素の使用量削減、回収・再利用など技術開発のハードルが高くなっている課題の解決、さらに製品の長寿命化に向けた技術開発とともに、必要インフラ整備を指摘している


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