フェノール スプレッド悪化 減産局面に
フェノールのスプレッドが、アジア市場で急速に悪化してきた。需給構造そのものはタイトなものの、原油・ナフサから石化誘導品まで市況が崩れているなか、連れ安となって市況が低下しているためだ。すでに各メーカーとも採算ラインを下回りつつあり、アジア域内は減産曲面に差し掛かってきた。国内最大手の三井化学は、7月に計2万7000トン程度の減産を内外で図る方向で最終検討を進めている。
フェノールのアジア市況は、昨年末に1トン当たり1000ドル強まで下がったが、その後は主原料のベンゼン価格の上昇にポリカーボネート(PC)など川下需要の持ち直しも加わり右肩上がりで上昇。5月初旬には同1600ドルをうかがう水準にまで回復した。ところが、ここにきて市況は急落、足下では同1300ドルどころで推移している。
一方、ベンゼン価格は、6月のACPが同1080ドル。前月より同115ドル値下がりしたとはいえ、フェノールの落ち幅よりは小さい。もう一方の原料であるプロピレンも、ナフサ安に連動して値を落としているものの、エチレンよりは下落率が低い水準で止まっている。
一般にベンゼン〜フェノール間のスプレッドは、再投資による安定生産の継続を見込むなら500ドル、採算ラインとしては300ドル程度が最低でも必要とされる。ベンゼン1080ドル、フェノール1300ドルでは採算割れに陥っている計算。
また中国市況を見ても、足下はフェノール9600元、公定ベンゼン価格7800元となっており、必要とされるスプレッド2000元を確保できていない。
こうした状況を受け、域内では減産の動きがこれから強まっていくものとみられる。アンチダンピング課税などもあり中国メーカーは海外勢よりも競争力が高いとされるものの、スプレッドが2000元を割り込むと赤字となり減産が始まるとされる。
日本では、三井化学が7月に減産を図る方向。国内で1万5000トン、シンガポールで1万2000トンほど減産、スポット輸出を削って、国内や安定顧客優先の販売体制をとる。三井化学の総能力は月約7万5000トン。およそ36%の減産幅となる。
フェノール市況が下落しているのは、川下需要の停滞もあるものの、原油・ナフサや他の化学品価格が落ち込むなか、心理的に引っ張られている側面が大きいとみられる。需給構造は基本的にタイトであり、足下の中国の在庫レベルも市場規模が現状の半分だった5年前と同水準にまで落ち込んでいる。
経済環境の一層の悪化などの材料がない限り、減産効果なども含め、市況は現状を底に上値を探る展開を見せていくことになる可能性が大きい。