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2012年06月15日 前へ 前へ次へ 次へ

ユーロの挫折とギリシャの再選挙

 1990年代、毎年のように欧州に出張した。当時、欧州で不便を感じることがいくつかあった。ホテルが狭くて高い。徐々に普及していたIT利用環境が整っていないなどだ▼通貨もその一つ。ドイツマルクは今のシンガポールドルと豪州ドルの間くらいを上下していた。フランスに行くと約3分の1になる。お隣のベルギーではケタが変わる。金銭感覚を掴むのに苦労するのと、両替で発生する小銭が溜まることには閉口した▼ITでは前時代的なダイヤルアップで悪戦苦闘した。国によって電話の元ジャックの形が違う。出張するたびに買い増した各国の電話ジャックは、ノスタルジー以外、何の役にも立たない▼だが、IT革命は欧州のホテルにも広がり、現在ではメールで原稿が送れないなどということはない。面倒だった両替も、単一通貨ユーロの登場で過去のものとなった▼そのユーロが今、発足後最大の危機にさらされている。ユーロ危機の出発点となったのはギリシャの混乱だ。経済誌には「ギリシャが逃げる。その準備を」という記事も出た。ギリシャは欧州では小国。だが、この小国の動向次第でEUの維持が危うくなるおそれもある。経済の混乱は欧州中に飛び火し、世界経済の後退は避けられない。逃げるか留まるか。995万人の有権者の選択は明後日。


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