不透明感が解消されない電力問題
電力制限とコストアップが日本経済の最大の懸念材料となっているが、企業はその防衛措置として「国内投資の縮小・海外投資の拡大」を鮮明にしつつある。同時に、コスト高は企業、日本経済の競争力を確実に浸食するのは明らかだ。電力不足に対する液化天然ガス(LNG)火力増強などの緊急対策は不可欠だが、政府はいまこそ中長期的な電力戦略を策定、日本経済の"血液"手当てを最優先課題に取り上げる必要がある。
経団連が先ほど実施した緊急アンケート調査によると、電力制限とコスト高が今後の企業活動に深刻な影響を与えていることが改めて浮き彫りになった。調査対象は経団連の役員、審議会、資源・エネルギー対策委員会会社153社で、87社(製造業56社)から回答を得た。
電力の供給不安については、製造業の71%が生産を減少、43%が国内投資減少、28%が海外投資を増加させると回答。そしてほぼ70%が収益に影響を与えとした。電力料金の上昇では、47%が生産の減少、52%が国内投資減少、そして海外投資拡大とする企業が%に上った。
現時点でもっとも可能性が高い「電力の供給不安と料金上昇が重なる」ケースでは、生産減少と大きく減少を合わせて73%が影響を受けると回答した。また、国内投資についても減少と大きく減少合計で55%に上った。この一方で、海外投資は増加と大きく増加を合わせると39%となった。収益に及ぼす影響は66%が減少、大きく減少が30%とほとんどの企業が打撃を受けると懸念している。
この調査結果をみると、製造業を中心に電力制限と料金上昇が与える影響は予想以上に深刻だ。経済産業省の試算によると、原子力発電をLNGおよび石油火力で代替すれば追加的な燃料コストが年間3兆円以上に跳ね上がる。これは、日本の年間の電気料金約15兆円のほぼ2割に相当することになる。
企業側では生産に支障をきたす電力不足に対応して、自家発電による自給体制の整備を急いでいるが、燃料の手当てを含めてコストアップが避けられない。しかも、中小企業にとっては、投資負担が大きく簡単に踏み切れない。
野田首相による関西電力大飯原子力発電所の再稼働についての政治判断が示されたが、今後の原発稼働に対する基本方針は明らかになっていない。また、太陽光発電など再生可能エネルギーの電力供給マップも描き切れていない状況だ。電力という経済の血液の確保と安定的な"血流"をどう確保するのか、日本経済再生の第一関門を最優先課題として衆知を集める必要がある。