迫られる日本ブランドの"アジア化"
国内市場の成熟と円高を背景に、海外市場での事業拡大は成長戦略の必要条件の一つになっているが、日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施した自動車、電気・電子、機械などの部品企業を対象に実施した調査で、アジア中心に海外に新たな販路を求める動きが加速していることが明らかになった。これまでは国内のセットメーカーの海外進出にともなう海外投資が多かったが、内需縮小という危機感で自らの技術力を新市場で展開するという経営判断が目立つ。中国などでは急速に力をつけている現地企業との競合に晒されることになるが、日本ブランドの"アジア化"が喫緊の課題となってきたのは確かだ。
この調査は、昨年半ばから今年初めにかけて部品サプライヤー170社および非日系企業57社にインタビューを含め実施した。ここで明らかになったのは、海外に活路を求めることだ。
今後の海外事業について2008年調査(928社対象)では「拡大する」が50%強、「現状維持」がほぼ33%だったが、今回(同1034社)は73%が拡大、現状維持は15%となった。国内での受注減や円高の定着が大きな要因だが、アジアに進出した完成品企業が部材の現地調達を強めることに加え、地場の完成品メーカーの成長が背景にある。ちなみに、アジアに進出した日系大手の現地調達率は05年38%だったが、11年は48%強に上昇した。中国でみると、47%からほぼ6割に上がった。一方、国内は完成品メーカーが震災を機に、調達先の拡大とコスト削減を狙い韓国や中国からの購入を増やしている。
もはや、日系同士のサプライチェーンのメリットは薄まる一方、「単工程で独自技術を持たないサプライヤーとの取引の可能性はない」という厳しい状況にある。ここに、地場企業並みのコスト要求が加わる。
キーワードの一つが、従来の取引先からの要請による進出から、「新規市場・顧客の開拓、(取引先の)世界最適地調達に対応する営業力強化」に移行していることである。自ら、販路開拓や物流・サービス網の構築、人材育成という総合的な機能を持つ必要がある。
この調査で浮かび上がったのは、国内取引先とともに海外進出する「親子タイアップ型」に加えて、製造会社が共同で現地法人を立ち上げる「複数社協同型」、そしてレンタル工業団地に複数の中小・零細サプライヤーが入居する「中小企業団地型」など多様化が進んでいることだ。部品メーカーのこうした海外進出の加速は、素材関連のサプライチェーンにも大きなインパクトを与えるのは確実で、その対応が迫られることになる。