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2012年05月24日 前へ 前へ次へ 次へ

食の基盤強化に弾力的な取り組みを

 日本の「食」の基盤強化を一層、加速する取り組みが動き出した。農林水産省による検討本部が約2年半ぶりに再開し、刻々と変化する社会の流れに対応したビジョンへの見直し、効果の高い施策のあり方や主体的な役割を担う農林水産業の成長につなげる。関連省庁間連携強化はもちろん、食料の安定供給のあり方、医療・健康関連やエネルギー産業などとの異業種交流による産業創出や新システム構築できる仕組みなど、農林水産業を国の重要産業として盛り上げる道しるべを示すことに期待したい。
 検討本部は、2010年12月に策定した「食」に関する将来ビジョンを、実効性がある施策とするためにどのような見直しが必要かなど、フォローアップ目的に開かれた。農業や漁業で重要な役わりを果たしている東北・関東地域が東日本大震災、東京電力福島第1原発事故によって打撃を受けたことも見直しの一因である。6月めどに見直し案がまとまる予定。
 ビジョンは政府が新成長戦略で掲げた方針に沿って策定され、6次産業化への地域資源による地域活性化、グローバル化、高齢化、安全性確保の四つの視点が重要としている。
 策定後、6次産業化の事業計画が223件認定され、全国で活動が進み、バイオマスなど再生可能エネルギーのプロジェクトは立ち上がった。しかし同一地域で実施される研究開発事業などと連動し、相乗効果が生み出されたかといえば、疑問は残る。ビジョンを貫く横断的な仕組みの導入が必要ではないだろうか。
 同ビジョンのプロジェクトの一つである「医療、介護、福祉と食、農の連携」は、農水産物や食品の機能性の科学的エビデンス情報の提供、消費者庁の食品の機能性評価モデル事業成果を関連づけに取り組んだ。だが地域の新産業創出や経済活性化へと直接、有効活用できるような内容に仕上がっていない。
 情報を生かすためには、農林水産物に含まれる機能性成分の保健効果、栄養成分の表示ができるようにすることが望ましいが、法規制の壁があることや、エビデンスに基づく成分値や、その値の強化された品種であることを容器包装に表示するだけでは、消費者に有用性が伝わらないだろう。
 膨大な医療費の削減と健康維持対策として、食からのアプローチが叫ばれて久しい。高齢化対応も重要だ。ビジョン見直しには、地域が医療食品やサプリメーカーを誘致しやすい環境整備、機能性を調べるバイオマーカーの標準化など基盤となる取り組みを政府が示し、医食農連携が深まることを望みたい。


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