36年ぶりに誕生したトキのひな
新潟県佐渡市で、自然界では36年ぶりにトキのひなが誕生したことが確認された。環境省が発表したのは4月22日だが、孵化したのはその数日前。放鳥したつがいの巣を観察する無人ビデオカメラが、ひなの映像をとらえていた。その後も抱卵、孵化の確認情報が続く▼トキは国の特別天然記念物で、学名はニッポニア・ニッポン。ひなの誕生を新聞やテレビが大きく報じたのも無理はない。国産のトキは2003年に絶滅したため、中国から貰い受けて人工繁殖してきた。遺伝的解析によって、日本産と中国産が同一の種であることが確認されている▼野生回帰の実現にはなおハードルが高いが、ここにこぎ着けた関係者の努力を多としたい。一方、こうした取り組みに疑問を呈する声もある。自然界の生存競争で淘汰される種があるのは当然で、人為的な保護は必要ないという考えだ▼現在、世界で絶滅危惧種とされているのは脊椎動物だけで6000種以上。確かに、そのすべては救えそうにない。とはいえ、人間の営みによって生息圏を追われる生き物たちには、できる範囲で手を差し伸べたい▼自然界にとっては、人類の存在自体が持続可能性の最大の脅威である。そのことを認識しつつ、どう折り合いをつけるかを考えていきたい。あす22日は国際生物多様性の日。