ニュースヘッドライン記事詳細

2012年05月17日 前へ 前へ次へ 次へ

ダブル値上げに苦しむプラ加工業界

 今年の中小企業白書によると、中小製造業の製造コストに占める購入電力使用額の割合が最も大きいのは窯業・土石製品製造業の5・9%、次いでプラスチック製品製造業が4・2%となっている。プラスチック製品を細分類すると、ブローなど容器製造業は6・7%と高くなる。4月から実施された東京電力の電気料金値上げは、プラスチック加工企業の経営を直撃しているが、さらに原料樹脂価格の値上げ攻勢も続き、事業環境は厳しさを増している。
 東電管内で15台の射出成形機を保有する従業員50人のプラ加工会社は、これまで年間約3500万円の電気料金を支払ってきた。今回の料金改定契約は6月から実行されるが、17%上昇して4100万円以上になる。同社は震災の影響を受けて生産が急減して赤字に転落したが、黒字転換が一段と困難になったという。
 射出成形や中空成形を主体に構成する全日本プラスチック製品工業連合会の会員企業の30%以上は、東日本プラスチック製品工業協会、神奈川県プラスチック工業会の会員企業。その大半を占める中小企業は、東電の電気料金値上げに対応策がないのが実態だ。値上げ計画のない関西電力では、今夏の電力供給が%程度の不足が見込まれ、節電などの企業努力では解決できず、電力問題はプラ加工会社の経営に影を落としている。
 電気料金に加え、原料樹脂価格の上昇にも悲鳴が上がっている。リーマン・ショック後の世界同時不況で値下がりしたナフサ価格は、このところキロリットル当たり5万円台で推移している。今年1-3月期は対前期比5%近い値上がりとなる5万4100円となった。直近のナフサ市況は値下がりしているが、石油化学メーカーの2012年度の想定価格は6万円台が大勢である。樹脂価格の是正は避けられない情勢にある。
 石化会社の値上げ攻勢に加工業界は危機感を強めているが、「交渉の余地がなく、値上げを飲まなければ出荷できない」と強硬な姿勢が目立つという。
 わが国の樹脂業界は慢性的な供給過剰、過当競争体質が指摘され、収益力も低かった。このため業界再編による企業集約化が進んだものの、ナフサ価格次第で赤字に陥る体質は改善されていない。しかしユーザーであるプラ加工企業の体質はさらに脆弱であり、今回のように電気料金と原料樹脂のダブル値上げが続くと、企業存続の危機に瀕する。加工業界の淘汰が進み、樹脂需要が先細りすれば、石化コンビナートの安定操業に支障が起こりかねない。サプライチェーンの連携による体質強化を模索してもらいたい。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.