【連載】材料新進化論 技術革新を牽引(4)
機能性色素は、顔料・染料の合成・設計技術をベースに、ナノテクノロジーなどを取り込みながらエレクトロニクス、環境、エネルギーなど多様な分野に広がりをみせている。なかでもデジタル関連機器の情報表示・情報記録用途では不可欠な存在となっており、液晶をはじめとする薄型パネルや光記録メディア関連で採用が拡大。急速な成長をみせるスマートフォンやタブレット型情報端末向けのほか、環境対策に寄与する製品としても注目が集まっている。
※省エネTVに採用※
こうした流れを受け、各社は得意技術を駆使した研究開発を加速している。DICは液晶パネルのカラーフィルター向けに特化した機能性グリーン顔料を展開。同顔料はバックライトの光を低減しても優れた画質を提供できる同社独自の製品として、省エネ型テレビなどに数多く採用されている。顔料の化学構造の中心金属を従来の銅から亜鉛に替えたことによって、輝度を格段に向上させるとともに顔料の粒子をより小さくすることでコントラストの大幅な向上を実現した。
これらの特性が評価されて、タブレット型情報端末やスマートフォンなどにも機能性グリーン顔料の採用が進んでおり、「現在70%近くまで確保しているシェアをさらに伸ばす」(同社首脳)と意欲的。
※セシウム除染にも※
大日精化工業では「とくに環境・エネルギー分野に重点を置く」(同社首脳)方針を打ち出している。その一環として、力を入れているのがセシウムを選択的・強固に吸着する無機顔料「紺青(プルシアンブルー)」。関係機関と協力しながら、放射性セシウムの除染技術の開発に取り組んでいる。このテーマへの取り組みについて、「重大な社会的要請となっている放射性セシウムに対し、紺青を活用した除染対策の実現を重要な社会貢献と捉えている」(同)。除染のトータルコスト削減に寄与できるとみており、各プロジェクトや実証試験へ積極的に携わっている。
※光の進行方向制御※
機能性色素を用いて待機電力をほぼゼロにする「光制御光スイッチ」の実現に向けた動きも活発化してきた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成研究として大日精化が開発を推進。コア技術の1つがマイクロ熱レンズで、耐熱・耐光性に優れる色素・溶剤からなる溶液を使って光線の進行方向を制御する。光線が溶液に吸収されると光エネルギーが熱に変わって温度が上昇、屈折率の段階的な分布が形成されてレンズのような働きをする仕組みだ。現在、実証試験段階まで進んでおり、実用化されれば多様な分野で大幅な省エネルギー効果が見込まれるだけに期待も大きい。
このほかにも、多くのメーカーが機能性色素の研究開発を繰り広げており、水面下では競争激化の様相を呈しているもようだ。今後は次世代の薄型パネルや照明に需要が見込める有機エレクトロルミネッセンス(EL)や色素増感型太陽電池、オプトエレクトロニクス、化粧品など幅広い分野をターゲットとした用途開発が進展する見通しで、先行きの市場動向が注目される。