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2012年04月26日 前へ 前へ次へ 次へ

情報共有化を進める労安法と化審法

 わが国で生産されている化学物質は数万に達し、基礎化学品から家庭用品まで幅広い製品で構成されている。これに対応して、化学物質や化学製品を規制する法律は数多く、「タテ割り行政」の弊害も指摘されてきた。労働現場における化学物質の安全・衛生、労働災害防止は厚生労働省の所管する労働安全衛生法(労安法)で規制している。経済産業省と環境省が共管する化学物質審査規制法(化審法)は、環境中に残留して健康被害の懸念のある化学物質の事前防止を目的に立法化された。
 労安法、化審法とも化学業界のみならず、化学物質のユーザー産業が事業活動を行う際に大きな影響力を持っているが、別の規制体系になっている。労安法では、製造されるものの出荷されない閉鎖系物質も対象になり化審法を上回る約6万に増えている。ただリスク管理に不可欠な化学物質の危険有害性(ハザード)情報の共有化はほとんど進んでいないのが実態。ハザード情報に基づいて化学物質を取り扱う労働者や最終消費者へ適切に情報を伝達・提供する標準化の試みは始まったばかりである。
 厚労省、経産省、環境省は27日「今後の化学物質管理政策に関する合同検討会」を設置する。今回の検討会で実現に向けて動き出すのは、労安法と化審法でそれぞれ実施している化学物質のハザード情報の収集・評価だ。労働安全や環境保全から、消費者が日常使う最終商品など多種多様な化学物質の有害情報を体系的に整理して、迅速に情報提供するという社会からの要請に対応する。
 欧米でも労働安全を目的にした法律は独立して存在しているが、安全情報の収集・評価に関しては、米国は有害物質規制法(TSCA)、欧州は新化学品規制(REACH)に一元化して実施している。これによって行政コストの削減のみならず、産業界にとっても負担軽減につながる。
 さらに化学物質のハザード情報をサプライチェーンに対する情報伝達・提供の進め方についても検討する。厚労省と経産省は化学物質の危険有害性の分類および情報伝達を国際的に統一されたシステムを目標に、国連が策定したGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)対応の共通プラットホームとして新JISに基づき推進している。さらに、今後課題になる成型品や家庭用品などへの対処を含めて方針を示す。
 化学物質規制の世界の流れはリスク管理に動き出している。その前提となるハザード情報に関する省庁連携は喫緊の課題だ。合理化、実効性の向上につながる成果を期待したい。


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