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2012年04月26日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】ASEAN石化産業、台頭する地場企業?

PTT、周辺国への進出模索
原油確保しシナジー発揮
 ASEAN(東南アジア諸国連合)地域における石油化学産業の成長の構図が変わろうとしている。シンガポール、タイではナフサクラッカーが相次いで立ち上がり成熟期を迎えつつある。一方、経済発展が著しく石化製品の輸入拡大が続くインドネシアでは投資計画が目白押し。石化産業が皆無に等しいベトナム、カンボジア、ミャンマーにもその兆しが表れている。そうした動きの主役はこれまでの外資から、自国の経済成長と事業拡大で力を蓄えた地場企業に代わりつつある。

 ASEANでは2015年の経済共同体(AEC)形成に向けた取り組みが活発化している。中国、インドという大国に挟まれ、「このままではASEANの存在感は大きく低下する」(シンガポールのゴー・チョクトン当時首相)という危機感の下、02年に提起された。いま、その危機感は周辺国に浸透しつつあるようだ。
 とくに危機感を強めているのはシンガポールとタイだ。ここ数年で両国ともエチレンで年400万トン規模の生産体制を築き、世界ランキングは20位圏内から10位以内に躍進を果たした。ただ、国内ではクラッカーを中心とする上流の投資は当面望めず、付加価値の高い新しい誘導品を志向する動きが目立っている。

※自主開発5割へ※
 そうしたなか、タイ最大企業でありエネルギー確保という使命を担う国営石油・ガス会社のPTTは、上流のガス・油田開発から下流の石化まで「統合されたシナジーをフルに発揮し、存在感を高める必要がある」(パイリーンCEO)と強調する。
 タイはガス・原油の確認埋蔵量が年々減少し、このままでは国のエネルギー安全保障上からも危機に陥りかねない状況にある。このためPTTは国内消費量の2割弱にとどまるガス・原油の自主開発比率を年までに5割以上へ引き上げる算段だ。
 タイ領海は隣国のカンボジアやミャンマー、マレーシアとそれぞれ接し、ミャンマーやマレーシアとは共同開発を行ってきた実績がある。こうした実績を生かしながら、マレーシアではペトロナスが進める石油精製・石化統合計画(RAPID)での協業を模索するほか、ミャンマーでは同国が開発を構想するダウェー工業地区への石化進出も検討中。

※空白地帯に関心※
 一方、カンボジアとはこれまで政治上激しく対立してきたが、ここにきて「よりを戻す」機運も生まれ始めている。とくにタイとの領海付近には大規模なガス田が未開発のまま横たわる。PTTのパイリーンCEOは「カンボジアなど石化産業の空白地帯への進出も有望なテーマだ」と意気込んでいる。


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