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2012年04月25日 前へ 前へ次へ 次へ

老いや死を忌避しない生き方

 健康や医療分野で逆説的なタイトルの本が売れている。なかでも「大往生したけりゃ医療とかかわるな」(幻冬舎新書)は目を引くが、今年1月に発行されてからすでに40万部も売れているというから、タイトルに共感する人も多いのだろう▼何を隠そう自分もその一人で、新聞の新刊広告を見てすぐに本屋で購入した。この手の本は、著者の意図と出版社の付けたタイトルが食い違うことも多いのだが、この本の場合はうまく付けたものだと感心した▼著者の中村仁一さんは特別養護老人ホームの配置医師で、「自然死」を勧めている。がん治療や終末期医療のあり方に一石を投じてはいるが、全体として貫かれているのは、生きるためには「死」と正面から向き合うことが大切だという点である▼日本が世界一の長寿大国になった背景には、医療の進歩や国民皆保険制度の存在がある。しかし年金や医療費の負担も膨らみ、社会保険料の問題は深刻さを増すばかりだ。医療をどうするかを死生観からも国民全体で考えていく必要がある▼以前に大学病院の著名な医師のセミナーで、「往生するためには元気で長生きすること」と聞いたことがある。しかし多くの人は病気に罹り、それが原因で死を迎える。健康を考えることと同じくらいに、老いや死を忌避しない生き方も大切だ。


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