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2012年04月25日 前へ 前へ次へ 次へ

注目される米国のLNG輸出戦略

 シェールガスの開発が急進展する米国で、液化天然ガス(LNG)輸出をめぐる動きが活発化している。ガス増産を背景に国内価格が2ドル(百万BTU当たり)を割り込むなかで、輸出による採算向上と市場拡大を狙う。しかし、米国産LNGは現在、米国の自由貿易協定(FTA)未締結国向けの供給が明確化されていないほか、エネルギー政策上、LNG輸出を制限すべきとの声もある。原子力発電所の再稼働のメドがつかないなかで、LNG発電のニーズが高まっている日本だが、中東依存を減らす意味でも米国産LNGの重要性は高い。今後の環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を含めた体制整備を急ぐ必要がある。
 米国のLNG輸出で先行しているのは、チェニエール・エナジー(ルイジアナ州)で年産1600万トン設備が2015年に稼働する。米当局は当初、FTA締結国に限定した輸出を認可したが、その後チェニエール社によるWTO加盟国への対象枠拡大の要請を受け入れている。
 こうしたなかで、三菱商事と三井物産はそれぞれセンプラ・エナジーの子会社であるキャメロン(ルイジアナ州)との間で年間約400万トンのLNG輸出枠の確保について協議を開始する。キャメロン社は億ドルを投じて年産400万トンの液化設備を3系列建設、16年から生産を開始する計画。キャメロン社はすでに、FTA締結国向けのLNG輸出許可を米エネルギー省から取得しているが、日本を含むFTA未締結国向けの輸出許可は11年12月に申請され、現在、承認待ちに状態にある。
 今後、注目されるのは、米国政府のエネルギー戦略のなかでのLNG輸出の位置づけだ。政府は近くLNG輸出が国内のガス需給に与える影響調査をまとめる予定だ。国内の天然ガス需給の安定化と製造業の競争力強化を図るために、LNG輸出に何らかの条件を加える可能性もある。
 また、米国のエネルギー多消費型の産業からはLNG輸出の増加で国内ガス価格が上昇する懸念から、一定の制限を求める主張が展開されている。
 一方、米ダウ・ケミカルのアンドリュー・リバリスCEOは今年3月、米国のエネルギー関連調査機関の年次会合「CERAweek」で講演、「首尾一貫した国のエネルギー政策がなければ、シェールガスの優位性は失われる。LNGの輸出、すなわち液体の形態ではなく、固形で輸出すべきだ」と指摘した。米国のエネルギー政策のなかでシェールガスは高い戦略性を持つ。日本政府は、エネルギー・電力政策の早急な立案とそのタイムフレームを示すべきだ。


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