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2012年04月24日 前へ 前へ次へ 次へ

見直しを求められる企業の情報発信

 企業からの情報発信は、決算発表およびアニュアルレポートなど財務情報のほか、環境報告書やCSR(企業の社会的責任)報告書などによる非財務情報に広がっている。現状は対象となる読者、企業側の担当部門の違いから、それぞれ独自に発行するケースが一般的だ。一方で環境・安全やガバナンス問題が企業業績に与える影響が格段に高まっているため、財務・非財務情報を統合した情報開示の必要性が指摘されている。
 企業のステークホルダーのなかで株主の存在感が高まった1990年代半ば以降、投資家向けIR活動を強化する企業が目立った。業績説明会に加え、各種財務報告書を充実させた。
 時を同じくして地球環境問題が顕在化し、環境対策の開示も求められた。また、企業の不祥事も相次いだことで法令順守の徹底などCSRに対する関心も高まった。これを受けて企業は環境レポートやCSRレポートの発行が相次いだ。化学会社は環境・安全に関する自主的活動であるレスポンシブル・ケア(RC)を冠した報告書も多かったが、最近では社会的責任にも敷衍したCSR報告書として発行する企業が多いようだ。
 投資家は企業業績や経営計画など定量的な財務情報に関心を示しがちだが、BPのメキシコ湾岸原油流出事故や東京電力の原発事故、オリンパスによる損失隠しや相次ぐ独占禁止法違反などは企業の持続可能性の危機に陥れ、投資家も甚大な被害を受けることになる。投資家にとってもESG(環境・社会・ガバナンス)情報は無視できない時代になっている。
 企業活力研究所はこのほど、「企業における非財務情報の開示のあり方」に関する調査報告書をまとめた。企業のIRおよびCSR担当者が参加した議論の結論は、情報開示戦略の再構築の必要性を指摘するとともに、持続的な企業価値創造につながる非財務情報を明確にして、財務情報と統合・整合性を持って投資家に分かりやすく説明するというものだ。さらに国際レベルの非財務情報開示に対する取り組みにも積極的に参画するという提言を行った。
 かつて日本企業は、目先の業績に振り回されず長期的視点に基づく経営が評価されたが、投資家の影響力が強まり、さらに企業不祥事によるガバナンス不信もあって経営戦略の見直しが迫られた。一方で、短期志向の経営からはグローバル競争に打ち勝つ画期的な技術・サービスの創出が難しくなっている。これらの課題を克服して新たな飛躍を図るためにも、リスク情報も含めて企業の目指すべき方向を投資家に示して理解を得ながら戦略を推進すべきだろう。


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