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2012年04月20日 前へ 前へ次へ 次へ

社会インフラ輸出の巻き返しを急げ

 民主党政権の成長戦略として鳴り物入りでスタートした社会インフラ輸出は、東日本大震災、急激な円高などで期待ほどの成果が出ていない。韓国や中国企業の台頭が目立ち、このままでは日本企業の存在感低下が懸念される。海外の政府や自治体が顧客になるケースが多い事業だけに、企業努力だけでは限界がある。政策支援や金融機関との連携強化によって地盤沈下を防ぐテコ入れが急がれる。
 社会インフラには水処理、石炭発電、原子力発電、鉄道、リサイクル、スマートコミュニティ、再生可能エネルギーなどがあり、とりわけ急速な経済発展と人口急増が進む新興国市場が期待されてきた。日本の高い技術開発力を武器にきめ細かな金融支援、トップ外交による受注に取り組んできた。しかし、原発事故で社会インフラの目玉に位置付けてきた原発設備の輸出交渉は凍結状態に陥ったほか、政府も震災復旧に追われ交渉中断も相次いだ。
 経産省によると、日本の海外インフラ受注は2005年から10年の間、年間200億ドル前後で伸び悩む一方、韓国は05年の160億ドルから650億ドルに、中国は同じく300億ドルから1350億ドルと4倍以上に拡大している。
 老朽化が進む国内の社会インフラ投資は迫られているものの、政府の財政悪化によって投資余力は低下しており、産業界は海外に軸足を移して事業展開を進めている。一方で韓国をはじめ各国政府は社会インフラ輸出の重要性を認識して、積極的なトップ外交を続けており、日本企業は受注競争で敗退するケースが目立つ。ただ、欧州債務危機によって欧米金融機関の財務体質が悪化するなかで、比較的健全な日本の金融機関のプロジェクトファイナンスは増加している。
 経産省はこのほど、産業構造審議会インフラ・システム輸出部会の議論を再開した。第1回は日本企業の抱える課題が話題になったが、幅広い視野を持ったリーダー不足、高コスト構造などが指摘された。次回からは貿易保険、円借款や海外投融資、技術協力など政策や金融支援のあり方、社会インフラ11分野の課題と方向性などを議論して、報告書を取りまとめる。
 これまでの議論でも、「オールジャパン」「運営・保守管理を含むパッケージ型」に固執するのでなく、現地企業とのコンソーシアムの重要性が指摘された。企業OBなどを活用したコスト競争力の強化、日本企業の特徴である性能やトータルコストを適正に評価させる取り組みも課題になった。今後の社会インフラ輸出施策に反映させてもらいたい。


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