ニュースヘッドライン記事詳細

2012年04月20日 前へ 前へ次へ 次へ

欧米企業にみるリスク管理

 「大方において前線の指揮官の判断は正しく、後方の司令官は間違っているものだ」という教訓が米国にはあるようだ。「どんな戦術も眼前の敵には無力だ」とも。まさに米国のプラグマチズムを言い表す言葉といえる。ダウ・ケミカルはこの考え方に基づき危機管理を行っている▼東日本大震災直後の同社は、現場優先での対応を重視した。グローバルのリスク管理チームも被災した相馬工場などに入ったが、ここでも現場の声を吸い上げた危機対応を展開した。一時的に閉鎖した日本法人の東京本社の再開も、外資系化学企業のなかではデュポンと並んで早かった▼対照的なのがドイツ企業。1年前のこの時期でも、関西や名古屋に臨時の本社を置いていた企業もあった。ドイツ企業が重視したのは原発事故に関する情報の精度。そして責任の所在だ。日本政府ではなく自前の情報に基づき、従業員の避難など、米国企業に比べてはるかに大がかりな危機対応を行った。この根底には「従業員の安全確保の責任は本社の経営トップにある」という考えだ。この場合の本社とはドイツ本社を指す。避難指示もすべて、ドイツの判断に基づく▼比較は意味がない。ただ、米独企業には明確で揺るぎないポリシーがある。そして改めて日本企業にそうした骨太のものがあるのか問われる。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.