ミャンマーの一層の民主化に期待
民主化が進むミャンマーへの投資に向け日本企業の関心が高まっている。このところ現地の空港は、以前はほとんど見られなかった日本人ビジネスマンで混雑しているという。インフラ整備の遅れや不透明な政治動向などから、当分は様子見という感じだろうが、成長のポテンシャルがあるうえ安い労働力は魅力的だ。主要8カ国(G8)外相は先週、民主化進展を評価し、対ミャンマー制裁の緩和を検討する声明を発表した。ミャンマー政府の一層の民主化に期待したい。
ミャンマーは若年層を中心に人口約6000万人を抱え、内需拡大が期待できる。アジア開発銀行(ADB)が先週発表した「アジア経済見通し2012年版」によると、同国の経済成長率は昨年度(11年4月?12年3月)の5・5%から、今年度は6%と予測しており成長のポテンシャルが感じられる。国民の4分の1が貧困層、電気のない生活を送る人が4分の3という状況の解消に向けミャンマーの課題は多いが、1人当たりのワーカー賃金は月平均41ドルで、バンコクの263ドル、ジャカルタの186ドル、プノンペン101ドルなどに比べ格段に安い労働力は投資する側にとってメリットの一つだ。
また今月1日、為替制度改革を行い、通貨チャットが管理変動相場制に移行したことも海外投資を呼び込む追い風となるだろう。同国への投資は中国、タイ、韓国などが積極的だが、欧米の経済制裁に同調してきた日本は目立った大型投資はない。だが、ここに来て日系企業と手を組み何らかの事業に投資したいという富豪もいるという。また、ホンダは同国への経済制裁解除が進展すれば二輪車の生産に乗り出す可能性がある。
化学産業では、原料の上流部門の投資案件が皆無のため、化学のサプライチェーン構築は当分先となろう。樹脂コンパウンドなども現地の成形メーカーの数が限られ、しかもコモディティ品のみを対象とする技術レベルだが、ホンダなど産業を牽引する企業の進出が本格化すれば、関連する部品・部材などを供給する産業の進出も急速に進むことになるだろう。
また、同国の発展は周辺国にも好影響を及ぼす。例えばタイはミャンマーのダウェイで国際港の建設を進めている。ベトナム、カンボジアからバンコクを経由しダウェイに至る東西回廊や南部回廊が完成すれば、タイやベトナムの生産拠点を活用し、ダウェイ港からインド方面への輸出入も可能となる。ミャンマーの民主化が東南アジア諸国の経済成長に貢献することも期待できる。経済制裁の行方を含めて世界の関心が集まる。