【新社長登場】 旭化成ケミカルズ 小林友二氏
収益高めグループ貢献
ー 昨年は日本の化学業界にとっても大変な年でした。
「2010年度は営業利益が予算比50%増となり、11年度上期も利益率9%台と好調だった。ところが下期の不調で、通年の営業利益は予算比20%の未達。利益率も7%を割った。中国、欧州、為替などの要因が重なってアクリロニトリル(AN)やナイロンチェーンなどの市況が低迷した。ただ、利益率7%は当社の実力と考えているので、12年度はここに戻したい。原料高が響いているが、コスト上昇分の85%は円安と値上げでカバー。残る部分はANと溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SーSBR)の拡大、水処理事業の採算改善、エンジニアリングプラスチックスなどの自動車向け製品の回復で取り戻したい」
ー 旭化成の中期経営計画「For Tomorrow 2015」にどう貢献しますか。
「旭化成は15年度に売上高2兆円、営業利益2000億円を目標に掲げている。当社はグループの中核会社であり、戦略事業部門への投資資金を稼ぐキャッシュカウの役割を担っている。15年度に売上高1兆円、営業利益率8%を実現させたい。11年度からは売上高で2500億円、営業利益で250億円を上乗せしなくてはならない」
ー 実現の道筋は。
「グローバルリーディング事業と位置付けるANとSーSBRはタイ、韓国、シンガポールで新増設しており、上乗せ分の半分は両事業で得られる。残りは中計の基本戦略である『健康で快適な生活』『環境との共生』のコンセプトに合致する事業を伸ばすことで実現したい。製剤賦形剤『セオラス』などの添加剤事業や医薬中間体受託製造など医薬医療分野、二酸化炭素を原料に用いるポリカーボネート(PC)樹脂技術などだ。当社独自の触媒を用いて天然ガスを原料とするプロピレン、ブタジエン製造プロセスもほぼ開発を終えており、どこでいつやるかを考える段階だ」
ー 水島地区のエチレン能力削減はどう考えますか。
「三菱化学と1基化に向け11年度中に決める方針だったが、まだ決めていない。日本はナフサをベースとしており、固定費、研究開発費、本社コストも乗るため海外で生産するよりも割高となる。少しずつ首が締まっているのは事実だが、誘導品群のトータルの経済性を考えると、能力削減を実施しなくてはならない環境ではないと判断した。AN、SーSBRは世界トップに向け海外で能力増強を進めているが、それに合わせ国内能力を縮小するとは考えていない。国内にも安定したユーザーがいるし、自前の原料を持っていることの強みもある。海外市場は急速にタイトになることがあり、能力に余裕を持っていたい」
ー エチレン系誘導品に不安がありますが。
「高密度ポリエチレン(HDPE)、スチレンモノマー(SM)は確かに厳しい。しかし、当社のケミカル事業はサランラップなど収益性が高い製品が揃っている。規模の縮小を焦る必要はない。ただ、その時が来ればすぐに対応できる体制にはしている」
(聞き手=加納修)
〈横顔〉
一貫してAN畑を歩んできた。赤字で苦しんでいた韓国・東西石化では副社長として再建の辣腕をふるい、現在では世界最強となったAN拠点の基礎を作り上げた。強力なリーダーシップ、剛腕で鳴るが、若手の意見にも耳を傾ける兄貴肌の一面も。趣味は散歩、読書、ゴルフ。
〈略歴〉
1975年(昭和50年)慶応大学法学部卒、同年旭化成工業(現旭化成)入社。08年旭化成ケミカルズ取締役兼常務執行役員、11年同兼専務執行役員、12年社長兼旭化成執行役員。栃木県出身、59歳。
(了)