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2012年04月13日 前へ 前へ次へ 次へ

国の開発プロに海外企業参加基準を

 わが国の成長戦略を実現するために科学技術によるイノベーションの重要性が高まっている。民間では既存技術の延長になりがちで、中長期的なチャレンジ研究に振り向ける余力は限られるだけに、政府主導の研究開発の出番は増えている。経済産業省が今年度から始める「未来開拓研究開発制度」も具体化しているが、海外企業の扱いが明確になっていない。かねてから問題になっていたが、先送りされたままで行政の当事者も対応を苦慮している、政府は早急に明確な方針を示すべきだ。
 総務省の調査によると、日本の科学技術研究費の総額は約17兆円。リーマンショックの影響を受けて2009年度に前年比8%以上の大幅減となり、10年度も微減と3年連続減少が続いている。最大要因は約7割を占める民間の技術研究費で、その後も目立って回復していない。逆に事業のグローバル展開のなかで、技術開発の一部を海外に移す動きもでており、研究開発の空洞化が懸念されている。
 政府は先に策定した第4期科学技術基本計画において、政府研究開発費をGDP比1%、年5億円を打ち出した。民間の研究費が伸び悩むなかで、国がイノベーション創出に主導的役割を果たすことは時宜にかなっている。ただ、政府主導の技術開発制度に関しても既存技術の延長、市場開拓支援の範疇に分類されるテーマが増えている。
 経産省が始める未来開拓研究は、石油に依存せずCO2と水を原料に太陽エネルギーで化学製品を生産するグリーン・サスティナブルケミカルプロセスのほか、光エレクトロニクス、高効率モーターの革新的3テーマを採択、環境・エネルギー制約に挑戦するプロジェクトとして動き出す。
 このほか公的研究機関が集中する茨城・筑波地区では、産学官が連携したオープンイノベーションの取り組みが始まっている。大学や企業を含めた研究者の人材育成への貢献も見込め、このような取り組みが各地に広がることも期待したい。
 研究開発においても国際化が進展しており、日本企業は海外の大学や研究機関との共同研究に積極的に進めている。これに対し、日本の政府主導の研究開発プロジェクトに海外企業が参加することは簡単でない。税金を投入する以上、国内企業を優先させることは当然にしても、技術流出の問題を抱えている。一方、海外企業が参加することでオープンイノベーションがより加速するというメリットも期待できる。現状は海外企業の参加を禁止しているわけではなく、曖昧のまま放置されているようだ。早急に海外企業に受け入れの指針を示すべきである。


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