"オープン"追及する欧米化学の開発
新興市場における事業拡大、設備投資や企業買収、事業ポートフォリオの組み替え、人材の育成など、企業が成長するうえで重視する戦略は数多い。技術革新も成長の源泉の一つだ。
革新的な技術によって創出した製品は、それ自体が他社との差別化や競争力優位につながる。そのため製造企業は研究開発の強化を重点的に推進してきたが、必要な技術を単独で開発するのは容易ではない。研究開発の手法をより多様にすることが求められている。このためオープンイノベーションへの関心が高まっており、欧米の化学企業が日本の研究機関や企業などと多様な関係を作り上げる努力が続いている。
一橋大学イノベーション研究センターが主催し、DSMが後援した「オープン・イノベーション シンポジウム」が行われた。DSMからはフェイケ・シーベスマCEO(最高経営責任者)などが来日し、議論した。冒頭、ディー・エス・エム ジャパンのレオン・ハルダース社長は、「オランダ人は物事を教える姿勢が強いが、シンポジウムは私たちにとって学ぶ場」と強調し、日本で技術を吸収したいとの考えを示した。
日本の顧客との関係を強化して技術革新を進めようとする動きも広がっている。BASFジャパンが横浜市緑区のジャーマンインダストリーパーク内に開設した「エンジニアリングプラスチック・イノベーションセンター(EPIC)」は、その一例だ。エンプラに特化し、コンセプトからデザインまでのあらゆる段階における用途開発を支援したり、最終製品の評価試験をはじめとする技術サポートの拠点である。さらに、関連製品を展示して顧客との双方向のコミュニケーションを進める「イノベーション・ルーム」を設置したことが特徴だ。
同社ではエンプラ以外の製品も対象にした研究施設をジャーマンインダストリーパーク内に設けることを検討しており、日本における「イノベーション・ハブ」としての機能を高めていく考えだ。
米国企業ではデュポンが自動車やエレクトロニクスといった分野の開発拠点を日本に持っている。顧客のニーズをより的確に把握し、顧客との共同開発を通じて多様なソリューションを提供する。このコンセプトをアジアや中南米の成長市場に展開して、成長の機会創出に結びつける。
こうした活動は欧米の化学企業がなお日本を重視していることの証左である。同時に日本の企業にとっても新しい事業機会を得る可能性につながる活動でもある。もっと"オープン"を追求する時代である。