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2012年03月28日 前へ 前へ次へ 次へ

野田首相は原発再稼動の政治決断を

 東京電力・柏崎刈羽原発6号機が、定期検査のため26日未明に運転を停止した。これにより東電管内の原発稼働はゼロになった。国内全体でも54基のうち北海道電力・泊原発3号機ただ1基を残すのみとなり、これも5月5日には定期検査のため止まる。わが国の電力需給構造は、いよいよ抜き差しならぬ局面を迎える。
 東電はこの間、火力発電、揚水発電、ガスタービンの新増設などで供給能力の上積みを図ってきた。5700万キロワットの供給を確保し、今夏の暑さが昨年程度なら安定供給できる見通しだと伝えられる。需要家サイドでも、企業各社がさまざまな節電対策を講じ、政府の政策誘導に呼応してピークカット対策も進められている。
 それでも夏の暑さが一昨年並みになれば、供給不足が避けられない。フル稼働が続く火力発電の設備や要員にかかる負荷は大きく、トラブルが発生する懸念もつきまとう。安心には程遠く、文字通りの綱渡り状態にあるというのが現実である。こうした事情は関西電力など他の電力管内でもほぼ同様だ。全国的に供給不安を抱えたままで夏場に向かうことになる。
 さらに、火力発電へのシフトに伴う輸入化石燃料の大幅なコストアップを背景に、電力料金の値上げが需要家たる企業の業績を悪化させ、国民の家計を直撃する。
 長期的視点で見れば、原発依存度を低減させることは、有力な選択肢となり得る。省エネに加え、さまざまな創エネ、蓄エネ技術が開発・実用化されることは十分に期待できる。再生可能エネルギーの普及拡大も、技術開発の進展とともに速度を増していくだろう。
 とはいえ、それはあくまでも先の話だ。現下の状況で原発停止を固定化することは、日本経済の基盤を根底から揺るがす。国際競争力を削がれた製造業は生産拠点の海外移転を余儀なくされ、その結果生じる国内空洞化は雇用の喪失をもたらす。
 原子力安全委員会は23日、関電・大飯原発3、4号機のストレステスト1次評価の結果を了承した。野田佳彦首相には、この結果を踏まえて再稼働を政治決断することが求められる。
 もちろん、地元の理解を得るための最大限の努力を払うことがその前提となることは言うまでもない。東電・福島第1原発事故以来、政府や電力業界をはじめとする原発関係者の危機管理の杜撰さや不正確な情報発信により、国民は不安と不信を強めている。そのことをしっかりと受け止めた上で、いま政権がなすべきことは、エネルギーの安定供給を確保することだ。


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