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2012年03月27日 前へ 前へ次へ 次へ

クモの糸とスーパー繊維

 クモの糸が天然のスーパー繊維であることは周知の事実である。デュポン社がナイロンを開発したとき、クモの糸を比較対照の引き合いに出したことは興味深い▼その特性としては、鋼鉄に匹敵する強度や特筆すべき弾性力などがあるが、米国では1990年代初めに遺伝子組み換え技術によって防弾チョッキなど軍用への応用が試みられている▼散策でよく見かけるクモの巣とスーパー繊維はなんとなくそぐわないが、日本だけでも1250種前後のクモが生息するらしい。種類によって、巣(網)の作り方にも持ち味があるようだ▼ネイチャー誌によると、このスーパー繊維は「ひずみが小さい時は線形だが、ひずみが増大すると突然軟化、(破断する前に)硬くなって」網の構造を維持することが突き止められた。「非線形応力応答性」と呼ばれるというこの特性が、獲物の捕捉、やっかいな敵からの攻撃そして暴風にも耐えるというマルチな機能を発揮する秘密らしい。繊維の高い弾性力は、獲物の捕捉率と相関している▼スーパー繊維そのものも魅力的だが、巣の一部が損傷を受けても全体の機能が維持される、というクモの巣の特性をインターネットのネットワーク設計に応用しようという研究者もいる。スーパー繊維と次世代ネットワーク、化学の境界域は限りない。


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