各地で反対される震災がれき処理
環境省は先週から、報道発表文書などのレターヘッドに「みんなの力でがれき処理」というスローガンを刷り込んでいる。震災がれきの広域処理を全国の協力を得て前進させるために、やれることは何でもやろうとの姿勢だ▼岩手県で通常時の11年分、宮城県では19年分の災害廃棄物が発生した。合わせて2000万トン強。それが仮置き場に搬入されたまま行き場を失っている。政府はこのうち400万トンを両県の外に運んで広域処理する計画だが、遅々として進んでいない▼受け入れを検討する自治体もあるが、放射性物質への不安から住民の強い反対を受けて頓挫したり首長が立ち往生している状態。16日に試験焼却を実施した静岡県島田市が受け入れに踏み切れるか、それに続く自治体が出てくるかに注目が集まる▼反対派の声は大きい。その主張は感情的かつ一方的だ。冷静な議論を求める声はかき消され、受け入れの検討すら提案しにくい状況が生じている。そこをどう突破するか。全国の自治体首長の見識と勇気が問われる▼これまでに示された広域処理データでは、発がんリスクを云々するレベルではない。受け入れるには何をどうする必要があるのか。それを出発点にするのでなければ、被災地と全国を結んだはずの絆が、脆くもメルトダウンしてしまうことになる。