食品の放射性物質規制の混乱
東京電力福島第1原発事故を契機に噴き出したやらせメール、やらせ質問の関連ニュース。日本のエネルギーのあるべき姿、放射線リスクによる健康被害という議論を置き去りにして場外乱闘の様相さえ呈している▼先週は厚労省が示した食品に含まれる放射性セシウムの新規制値への意見公募に、文科省の放射線審議会前会長が反対意見の投稿を促すメールが話題になった。この問題は原発事故後に設定した年間線量5mSv(ミリシーベルト)による暫定規制値から、1mSvに基づく規制値に引き下げる方針を打ち出したことに始まる▼この引き下げは、小宮山洋子厚労相による政治決断で実施された。消費者の不安が背景にあるが、これでも甘いという意見がある一方で、放射線の専門家を中心に科学的根拠が薄いとして反対意見も根強かった。また委員会の議事の進め方に批判もあった▼放射線審前会長のメールの趣旨は「安全性評価と社会的、経済的影響の検討がない」「福島の農漁業に甚大な被害を与える」などだ。これは健康影響とともに、新規制値を決める際の重要なポイントのはずだ▼福島県の出産数は激減している。乳幼児の健康被害は最優先で考えることは論を待たない。同時に幅広い意見を吸い上げて議論を尽くすリスクコミュニケーションを根付かせたい。