あるべき社会の議論を
第180通常国会における野田首相の施政方針演説は、消費増税や社会保障など国民生活に密接な問題だけにこれまで以上に注目された▼全国紙は社説でも取り上げたが、基調が似ているのが気になった。増税を支持するものの、説明不足、実現への戦略や実行力に疑問を呈する。議員定数、議員歳費や公務員給与の削減を求める一方、野党には協議を迫るというのがパターン▼第2次世界大戦終了から70年近い。議論はあろうが、歴史上最も豊かな時代だったといえる。が、ここに来て制度疲労に直面している。このなかで今年は世界のリーダーの選挙、交代が相次ぐ。現職の苦戦が伝えられ、厳密には現職ではないものの当選確実とされるロシアのプーチン首相さえ急激な支持率低下と抗議デモの洗礼を受けている▼11月の選挙を控えたオバマ大統領も低空飛行が続く。米国の貧富の格差は想像を絶するが、創意工夫と実行力次第で誰もがトップを目指せる実力社会への信奉は根強いようだ▼保守系論客のC・マレー氏の新著「カミング・アパート」が議論を呼んでいる。最低所得保障を前提に、社会福祉政策や欧州型福祉国家を批判し、米国の原点回帰を強調する。それは家族・仕事・コミュニティ・信仰の4つだ。世界中で社会のあるべき姿を真剣に議論すべき年でもある。