エンジ産業は競争力回復に取り組め
日本のエンジニアリング産業の凋落が止まらない。近年、中近東などの大型プロジェクトで韓国勢との受注競争で敗退を続けてきたが、2011年も日本勢の不振は変わらず、むしろその差は開くばかりだ。日本のエンジ産業の業界関係者は、現状を冷静に分析するとともに、真摯に反省し、戦略の見直しを図るべきではないか。日本機械輸出組合はこのほど、わが国主要プラント・エンジ輸出企業に対し、海外成約アンケート調査を実施した。それによると11年度上半期の海外プラント・エンジ成約総額は億ドル(前年同期比31・8%減)と大きく後退した。半期ベースでみると09年度上半期と並び過去最低水準まで落ち込んだ。 一方、韓国は283億ドル(同15・5%減)と前年実績を割り込んだものの、マイナス幅は日本より小さい。この結果、韓国の受注額は日本の約4・6倍と大きくリードした。またマイナス成長の日韓と対照的に中国は、662億ドル(同20・6%増)と大幅増を記録している。3カ国では統計の集計方式に多少の違いがあるため、単純比較は難しいが、日本のエンジ企業の地盤沈下と、韓国・中国勢の躍進を認めざるを得ない。わが国のエンジ産業の関係者らはいま一度、こうした現実と真摯に向き合うべきではないか。日本のエンジ企業が主戦場のアジア地域などで、大きく負け越した理由は様々だ。石油・石油化学、ガスなどエネルギー・プラント市場では品質、納期、技術、価格など総合的力が要求されるが、韓国コントラクターはすべての面で急速に力をつけてきた。昨今の超円高、ウォン安も追い風だろう。さらに最近のIT技術の急激な進歩が大きい。かつて石油精製、石油化学プラントの中核設備では高度なエンジニアリングを背景とした職人芸である"匠の技"が重要な要素だった。ただ歴史のなかで多くがコンピューター化され、他社との共有技術が定着した今、日本のエンジ企業がもつ技術の差別化が難しくなってきている。ただ、最大の理由は日本企業からハングリーな気持ちが失われていることではないか。エンジ業界は弱肉強食の世界で、基本的に勝ち負けが明確なビジネスだ。日本人の成長や競争意欲が減退するなか、エンジ企業幹部では「草食系社員はいらない」と異口同音に述べる。わが国エンジ企業は、1960年代から海外ビジネスを手掛け多くの成功を収めてきた。官民連携も行政指導にも依存せず、オールジャパンの概念もないなかで、自力で市場を開拓してきた。そうした先輩達の足跡をもう一度振り返るべきだ。