板硝子協会・石村和彦会長(旭硝子社長)に聞く
住宅の節電・省エネ エコガラスで快適に
3月の原子力発電事故以降、日本の電力需給は厳しさを増しており、その対策の1つとして快適に省エネを実現できるエコガラス(Low-E複層ガラス)への注目が高まっている。板硝子協会の石村和彦会長(旭硝子社長)は、「電力問題という喫緊の課題に対するには法令で新築住宅への義務化を検討すべきだ」と提言する。
※金属膜が断熱・遮熱※
ー エコガラスの特徴を教えてください。
「簡単にいうと、夏涼しく、冬暖かく過ごせるガラスだ。一見、普通のペアガラス(複層ガラス)と同じようにみえるが、ガラスとガラスの間に断熱性能と遮熱性能を発揮する特殊な金属膜が入っており、1年を通して快適な室内温度を保ってくれる。開口部(窓)からの熱ロスは大きい。平均的な住宅では夏に窓から入る熱は家全体の71%で、冬には暖かさの48%が逃げている。エコガラスを入れることでエネルギーロスをかなり低減できる」
※認知度まだ低い日本※
ー 日本での普及は進んでいますか。
「新築戸建て住宅のうちエコガラスの採用比率は45%程度。住宅版エコポイントの後押しもあり増えてはいるが、まだ認知度が低いようだ。既設住宅のリフォームはまだまだ進んでいない」
ー 普及が進めば節電に大きく貢献できそうですね。
「原子力発電事故を契機に日本の電力事情は厳しい状況にある。今年は皆さんが暑さを我慢して節電に協力した。しかし、エコガラスを導入すれば快適に省エネできる。既設のものも含めて日本の戸建て住宅すべてにエコガラスを入れると原子力発電2基分に匹敵する電力を節約できるといわれている。日本の産業界、とくに製造業は省エネの優等生だ。運輸部門も自動車の省エネ基準は厳格化の流れにある。しかし、住宅などの民生用は縛りがないため今も増え続けている。今後は民生部門の省エネ推進が日本のエネルギー事情において極めて重要になる」
※エネ問題救うカギに※
ー 普及を促すには何が必要でしょうか。
「新築は義務化しなければならないだろう。先進国では欧米も韓国も義務化されている。とくにドイツの基準は厳しい。一方、日本は省エネ基準はあるが義務化はされておらず、しかも基準の内容も各国に比べてかなり緩い。2020年には義務化されるという話もあるが、それでは遅すぎる。電力問題は喫緊の課題だ。太陽光や風力などによる『創エネルギー』も広がるだろうが、大量のエネルギーを安定的に作り出すには限界がある。一番確実なのはやはり省エネ。エコガラスは日本のエネルギー問題を救うキーテクノロジーの1つとなり得るものだ」
ー しかも快適に、ということですね。
「実際にエコガラスを導入したら住宅の快適性が非常に高まる。ただ、入れてみないと理解されにくい面もある。エコガラスが入っていれば窓の近くでも、夏場にジリジリと日差しを感じたり、冬にヒヤッとしたりすることが軽減されるし、窓の結露やカビの発生も抑えられる。しかも一度入れてしまえばランニングコストがかからない。新築で義務化してこうした特徴が一般の方に広く理解されるようになれば、リフォーム機運も高まっていくだろう」
(聞き手=関口裕介)