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2011年12月19日 前へ 前へ次へ 次へ

一時的現象に終わる中国の経済減速

 日本の凋落が話題になって久しい。一方、世界経済で存在感を高めてきた隣国の中国は、経済減速や金融引き締めを契機に企業倒産といったニュースが世界を駆け巡っている。一部では「中国の成長神話は早くも崩れてきたのでは」という見方もでている。しかし10万人を超えるまで増えた日系企業の在中国駐在員の認識は、日本国内とはまったく違っている。
 確かに中国は、この間の金融引き締め政策で労働集約型企業、とくに中国系企業を中心として倒産や工場閉鎖が相次いでいる。金融機関からの融資が受けられず資金繰りに行き詰まった末、経営者の蒸発や失踪と行ったニュースが頻繁に報道されている。欧米メディアも最近、世界の工場となった中国が"青色吐息"といった刺激的なタイトルで経済の変調と失速を伝えている。
 こうしたニュースに溜飲を下げることは自由だが、いま中国に駐在している現場感からすれば、失調や変調といった経済成長の課程における景気変動は、これからも何度も起きるだろう。ただ、この国は戦争や革命など国家の根底を揺さぶる特殊な要因が発生しない限り、経済成長路線を突き進む。日本の10倍以上の圧倒的な人口による成長余力がまだ十分にあること、政府の政策も産業育成にプラスなら、あっという間にシステムの見直し、改革を行う柔軟性を維持するだろう。
 先ごろ、中国内で港湾業界のニュースが話題となった。2010年の上海港のコンテナ扱い量が世界最大となったが、11年も2年連続で世界トップとなる見通しが明らかになったためだ。08年、09年の世界トップのシンガポールに抜き去り、その差を一段と広げている。日系大手物流関係者は「シンガポールも香港も基本は物資の積み替え。これに対し上海は国内輸送に向けた実需が増加している」と指摘している。
 また、中国の港湾物流関係者は「金融引き締めで影響を受けるのは過当競争にある製造業や不動産業者。実需が端的に現れる中国のコンテナ物流は、今後もかなりの勢いで伸びていく」と断言する。
 物流関連の動きをみても、日本なら道路交通法など縦割り行政で許可が下りない超ロングフィートコンテナの道路輸送も中国では可能なほか、24時間対応の通関業務も主要港湾で相次ぎ導入されるなど柔軟な行政対応が競争力を高めている。
 日本は国力衰退しつつあるという事実を認識し、総合的かつ的確な対策を速やかに打ち出さないと、国家の衰退がさらに加速することにもっと危機感を感じなければならない。


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