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2011年11月15日 前へ 前へ次へ 次へ

野田首相のTPP交渉参加表明

 「(交渉参加を)慎重に検討する」とした民主党内合意を受けた野田佳彦首相の環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加表明は慎重だった。いや、むしろ決断の記者会見を1日延期したことが、党内の混乱ぶりを露呈させただけである▼野田政権が発足したのは9月2日。第3次補正予算を含めた震災復興が最大の焦点だったはずだが、いつの間にかTPPが主役になった。永田町全体が"TPP熱"に感染、超党派の慎重居士が気勢をあげる一方で、推進派の政権中枢が守勢にまわった感がある▼TPP対応で政府が論議を重ねた食と農業の再生会議の最終報告は、慎重派への解熱作用をほとんどもたらさなかった。事ここに至って「個別の経済連携ごとに検討」とした再生案が注目されなかったのは当然だろう▼経済連携が広範な領域に及ぶのは周知の事実。が、最大の課題が農業問題であれば、政府は十全な戦略を提示する必要がある。1996年のウルグアイ・ラウンドの際、農業体質強化のために総額8兆円が投じられたが、その結末は見ての通りだ。戦略の"背骨"が欠落していたとしか思えない▼新興国の経済成長と人口増を背景に、アグフレーション(農産物インフレ)が現実のものになりつつある。今こそ、日本農業再生に向けた国民的論議が欠かせない。


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